第38話 【ヒッチハイクする幽霊】モッサ・ジ・ブランコ(A Moça de Branco)

 モッサ・ジ・ブランコとは「白い女の子」という意味がある。彼女は白い花嫁衣裳はなよめいしょうを着た幽霊である。「白い女性」を意味するダーマ・ジ・ブランコ (Dama de Branco) や、「白い花嫁はなよめ」を意味するノイヴァ・ジ・ブランコ (Noiva de Branco) という名で呼ばれることもある。


 彼女は、金曜日の深夜に現れて、ヒッチハイクをする。特に墓地か教会に近い通りに現れるという。トラックドライバーや旅行者は彼女を見かけると、花嫁はなよめ姿を不審ふしんに思いつつも彼女があまりにも美しいので、ついつい車に乗せてしまう。しかし彼女は、シートに座ったとたんに泡となって消える。シートにはダイヤモンドの指輪が残されているという。


 また、車に乗っても消えずに、「私の家までこない?」と運転手を誘惑ゆうわくするという話もある。その場合、彼女の案内するままに車を走らせると、やがて目の前に白いかべが現れ、そこで止まるように頼まれる。車を降りた彼女は、運転手に振り向きながら、「ここが私の家なの……」と言って消える。運転手が驚いて外に飛び出すと、そこは墓地のへいの前であったということだ。


 この幽霊はミナス・ジェライス州やサンパウロ州によく現れたという。結婚式を控えながらも無念な最期をげた女性の霊なのだろうか……。


 さて、ブラジルには女の幽霊の話がほかにもあり、「午前0時の美女」 (Bela da Meia Noite) とか「午前0時の女」 (Mulher da Meia Noite) とか呼ばれるものがいるが、いずれもモッサ・ジ・ブランコに類似した話である。またトイレに現れる幽霊もいる。これらは皆、都市伝説の一種であろう。

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