第34話 【黄金をもたらす精霊】マィン・ド・オウロ(A Mãe do Ouro)

 マィン・ド・オウロは直訳すると「黄金の母」という意味になる。


 その姿は小鳥、トカゲ、あるいは長い髪の美しい女性であるという。特に女性の姿でいるときには、肌は白く、深緑しんりょくの目をしていて、体中から星のような光を瞬かせているそうだ。彼女を見た者はほとんど居ないが、言い伝えでは川の中や星のない夜空に現れるという。


 そして、彼女が現れた場所では、必ず黄金が発見されるといわれている。まさにその名のとおり「黄金の母」である。妖怪というよりも財産をもたらす女神といったところだ。


 彼女は、ゴイアス (Goiás) 州のジャラグア (Jaraguá) の丘からサンパウロ州の海岸付近の地下、若しくは川の底に住んでいるとされているが、正確なところは定かではない。


 マット・グロッソ・ド・スル (Mato Grosso do Sul) 州のクイアバー (Cuiabá) 川にある採掘場では、悪い経営者のもとで働く奴隷のために、マィン・ド・オウロが黄金を贈ったという話がある。


 また、ある男が川の底で輝いている彼女を発見し、黄金を探して川へ飛び込んだことがあった。すると、川底から大きな火の玉が空へ飛び出し、その落下場所で金が発掘されたという話もある。ちなみに、その金は少量に過ぎなかったそうだ。


 そのほか、彼女が新しい家を捜し始める前触れに、雷が見られるともいわれている。鉱物と雷という性質から、隕石のような印象を受けるし、財産をもたらすという点を加味すると、日本の妖怪「金霊」に似ている。

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