第26話 【褐色肌の人魚】イアラ(A Iara)

 イアラはブラジルの人魚である。ウイアラ (Uiara) ともいう。


 ポルトガルにはムリャー・マリンニャ (Mulher Marinha) というヤギの足をした人魚がいるが、ヨーロッパの人魚というのは、上半身が人間で下半身が魚の尾になっている。ところがイアラは、普通の人間と同じ姿をした美女で、肌は健康的な褐色かっしょく、目は黒か緑色、髪はツヤツヤして黒い。ただ、不思議なのは、全身が花でおおわわれていることである。


 また、この人魚は、海ではなく川に現れる。川の中には水中都市があり、彼女はそこで暮らしているのだという。彼女は川の中で魅惑みわく的な歌を歌う。人々、特に男性は、可憐かれんな歌声に誘われて水に引き込まれるのだそうだ。


 イアラをアフリカ起源の妖怪だという人がいる。その説によると、アフリカの黒人奴隷こくじんどれい達の宗教にイエマンジャー (Iemanjá) という海の女神がいて、イアラはその女神の姿と似ているからだという。しかしながら、同一かどうかは不明である。

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