第10話 【出会ったら死ぬ】カベッサ・サターニカ(A Cabeça Satânica)

 カベッサ・サターニカとは「悪魔の頭」という意味を持つ妖怪である。頭だけの妖怪で、長い髪を振り乱して、笑い転げながら現れるという。夜には女性の姿になることもできる。そして誰かが近づくと、服が裂け、頭が取れて地面に落ち、ゲラゲラと笑い始める。この頭に触れた者は気分が悪くなって死ぬ。


 カベッサ・サターニカが家の前に現れたら、司祭を呼んで祈祷きとうをしてもらわなくてはならない。また、家の住人も9日間、祈り続けなくてはならない。そうしなければ、家人かじんの誰かが死ぬという。


 この妖怪は、ブラジルの北東部、特にペルナンブーコ州、アラゴアス (Alagoas) 州とパライバ州に現れるという。ブラジルの田舎のほうでは、この悪魔をいまだに信じている人がいて、大変恐れているそうだ。そんな人たちは、この怪物について語ることすら忌避きひするという。


 カベッサ・サターニカは、別名でカベッサ・エハンチ (Cabeça Errante) 又はベスタ・フェラ (Besta Fera) ともいわれる。ブラジルの隣国りんごくボリビアでは、カテカテ (Catecate) という名で似たような妖怪がいるそうだ。日本にも「つるべおとし」という頭だけの妖怪がいる。生首なまくびというものは、どこの国でも不気味とされるのだなと思う。

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