第30話 諏訪に追いやられたルシファー(^^)ノ

山間部では、そろそろ紅葉が始まる時期になって、過ごしやすくなって良かった、と思っていると、夫がこんな事を言い出した。


素戔嗚尊(すさのお)って、乱暴狼藉を働くから高天原を追放された訳だよね。


神格と言うのは、分割したり統合する事が可能な訳だけど、素戔嗚尊(すさのお)の天津神の要素と、追放されたと言う国津神の要素を分ければ、素戔嗚尊(すさのお)から、国津神の王としての大国主神(おおくにぬし)と、天津神なのに国津神として祀られている天穂日命(あめのほひ)と言う二つの神格に分けられるよね。


じゃあ、大国主神(おおくにぬし)の神格を二つに分けると、天孫に国を譲った事代主神(ことしろぬし)と天孫に最後まで抵抗を続けた建御名方神(たけみなかた)の二柱に分けられる。


国を譲った事代主神(ことしろぬし)は、天逆手(あめのさかて)を打って海に隠れてしまったけれど、建御名方神(たけみなかた)は、武甕槌神との戦いに敗れた後、諏訪の地から出ない事を条件に、その命を助けられたよね。


要するに、素戔嗚尊(すさのお)の神格を最後まで分割して残ったのが、建御名方神(たけみなかた)である訳だから、実は、この建御名方神(たけみなかた)こそが、素戔嗚尊(すさのを)が高天原から追放された原因そのものであるって事になるんだよ、と夫が言ったのを聞いて、私は、今、稲妻のように閃いてしまった事を話した。


ねえ、建御名方(たけみなかた)は、武甕槌神(たけみかづち)との戦い敗れて、諏訪の地に閉じ込められたんだよね。


この神話って、神に反逆をした堕天使ルシファーと、大天使ミカエルとの戦いがモチーフになってると思うんだ。


ルシファーもミカエルとの戦いに敗れ、地獄へ閉じ込められてしまったよね。


前々から思っていたんだけど、建御名方神(たけみなかた)と武甕槌神(たけみかづち)って、名前が似てるよね。


それって、もしかしてだけど、ルシファーとミカエルが双子の兄弟だったと言う伝説から拝借したんじゃないかな、と私が言うと、夫は、喜んだ様子で、裕ちゃんマジ天才、と褒めてくれた。


武甕槌神(たけみかづち)は、藤原氏が祀る神である。


裕ちゃんの仮説が正しければ、藤原氏は、イスラエルの民として、ルシファーをも倒す事が出来るミカエルを投影した武甕槌神(たけみかづち)の神格が、どうしても必要な理由があったんだろうね、と夫は語った。


大天使であったルシファーは、堕天してサタンとなった。


ヨハネの黙示録には、ミカエルの軍勢とサタンの軍勢が争う記述があり、サタンは全人類の敵であると言う。


ミカエルはサタンよりも強い存在として描かれているけれど、黙示録ではサタンの事を、全世界を惑わす年を経た蛇だとか、巨大な龍と言った表現をしている。


よし、次に行く場所は、諏訪に決まったね。


諏訪に行くついでに、戸隠で蕎麦でも食べよう。


そう、夫が誘うので、私はテンションが上がった。


諏訪には、日本を、いや、世界を揺るがす秘密が隠されているかも知れない、と夫は言ったが、私も、何となく、そんなような気がして来た。

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