第42話 偽りの長い1日④

「精密検査はどうやったの?」

 そういえば、今日彼は母親の病院に付き添うと嘘をついていたのを思い出した。

「血液検査ね。良くないって。」

「ええ。。どうなるん。。また抗がん剤するん?」

「いや、糖尿病をまず治してから。。」

「治るの?糖尿病。」

「マシにする。じゃないと抗がん剤も使えんし。効かんこともあるらしい。」

「血糖値下げるんやね。。夜中におにぎりがあかんね。。」

「そう。もう絶対に駄目。」

「そやね。止めてあげて。」

「本人が一番後悔してるから、大丈夫やと思うわ。」


「今日ので、セックスしたさがマックスなった。。」

「写真待ってね。今日は夜更かし。」

「ううう。。早くオナニーしたい。」


 夜になり、準備した写真を送ろうと彼にLINEを入れた。彼も今か今かと待っていて、子どもがいつ寝るのかをずっと気にしていた。

「お子さん寝た?」

「今寝たとこ。」

「待ってる。早く。。」

「今から送る。」

「きた。。もっと。。。見せて。」

「こんな感じ。」

「めちゃいい。。イキそう。」

 え?もう?

「オナニーしてるの?」

「ごめん。カメラマンの下心あるの想像したらずっと勃起してた。うう。。気持ちいい。本当は。。抱かせたんやろ?」

「想像で?この写真でしたんじゃないのねw」

「いや、写真見ながらオナニーしてるよ。次はラブホやろ?今日抱かせた感じなら次は絶対セックスなるやん。」

「信用ないね。」

「Rさんの信用やなくて。その人がしたがるやん。」

「したがってたよ。」

「やろ。。その男とラブホやで。。。写真のお礼に一回きりでもさせてあげてまうやん。」

「しないよ。」

「おかされても?」

「うん。」

「体はおかさせても、気持はさせないってこと?」

「どっちも無理。ハプバー行ったらさ、」

「うん、」

「例えば男がひとりいて、絡んできたら、」

「うん、」

「あなたの事、この人寝盗られ好きだから、抱いてって言えばいいの?」

「そう。単独さんに輪姦されて欲しい。」

「それとも、絡んでこなさそうな男に、私から誘惑してさせて欲しいって感じがいいのか?」

「いや。誘われたらでいいよ。そのセックスを周りに見せつけて代わる代わるセックスしてほしい。」

「輪姦なってるやん。。」

「ハプバーってそーゆーもんって思ってた。想像しすぎかな?」

「あなたが、単独男性に、彼女とセックスして欲しいって言わんと話進まんと思うよ。」

「そんな奥ゆかしいもんなんやw」

「カップルで行って、いきなり襲ってきたりしないと思う。」

 ハプニングバーにも、きちんとマナーがあるのだ。犯罪行為まがいの行為は禁止の店が多い。

「セフレ探す方が早いんかなぁ。」

「カップルでイチャイチャしにくるだけの人もいるから。」

「な、なんのために?」

「場所の雰囲気とか楽しんでんちゃう。」

「そっか。。寝盗られマゾでごめんね。」

「前の彼女がされたような事を私にして欲しいんやね。レイプのたらい回し。その記憶が忘れられんのかなあ?」

「かなぁ。。。トラウマが性癖に変換したんかな?」

「さすがに酷かったと言いつつ、勃起してたんやろ?」

「裏切られた気持ちのほうが大きすぎて。」

「誰に?」

「彼女に。」

 へえ。。意外。。

「してこいって言うたのに?」

「してこいなんてゆーてないよ。寝とられ好きって言ったらエスカレートしたんやん。それを報告なしにコソコソしてたから。」

「勃起はしたよね?」

「報告なしがバレたときはゲンナリ。」

「後で録画見て、勃起?」

「報告なしがバレてから勃起せず。」

「よくわからん。。なんでやろ。」

「その人が僕のこと関係なしに、ただセックスしたいだけやったってわかった時点で終わり。」

「難しい人w」

「うん‥ カメラマンとセックスしたと思てるもん。きっとラブホでもしまくると思てる。」

「裏切られ過ぎて、信用できんくなってるね?」

「うん。。。したとしか思えん。」

「僕とは終わり?ブロックしたね?って言ってたもんね。」

「うん。セックスしてそれが報告するのが嫌になって、終わりにしたと思た。」

「思い込むとこあるね。」

「うん。むしろしたよってウソつかれた方が安心する。ああ、やっぱりって。」

「セックスしたら喜ぶのわかってるから、してないのにしたとは言わないけど、したら、したって言う。だって喜ぶんだから、隠す必要なくない?」

「うん。やりたがってるカメラマンにやらせてあげてほしい。。。」

「えーw」

「やりたがってるんやから。。」

「やりたがってる人なんかいっぱいいるやん。皆やらせてあげたらいーの?」

「今はおらんやん。」

「会社辞めた人とか。」

「ハメ撮りできる?」

「嫌や。ハメ撮りせんでいいって言ってなかった?」

「やろ?カメラマンしかおらんやん。」

「カメラマンも、してるとこ撮ってって言えないよ、私は。」

「写真も?」

「知り合いにそれ言える?あなたなら。」

「じゃあセックスした証拠に使ったコンドームをこっそり持って帰ってこれる?」

「あー。言ってたね、それ。」

「うん。それを、家で口開けて垂らして飲んで欲しい。」

「誰が飲むん?」

「Rさん。」

「嫌や。」

「そか。」

「好きな人のしか飲めない私。飲ませてたん?それ前の彼女に?」

「実現はせんかった。」

「酷い話。。」

 でも、前の彼女ができなかった事をしたい気持ちはある。。対抗意識なのだろう。

「クズやもん。。僕。」

「ドSやな。」

「寝盗られマゾやのに?」

「ドSの寝盗られもおる。」

「ほなそれかな。。」

「ゴムの中身、あなたも飲んだら、ドMやわ。」

「カメラマンにラブホでさせてゴム持って帰ってきて。」

「飲む?」

「飲まんけど見る。」

「飲むなら持って帰ってくる。」

「飲むならしてくる?」

「する。あなたにそこまでの覚悟があるなら。私も腹くくる。」

「カメラマンと?」

「うん。」

「じゃあしてきて。舐める程度ならする。」

「ドMやわ。」

「ラブホいつやっけ?」

「7月4日。」

「この話昨日してたら今日してた?」

「してたかも。そこまでして欲しいなら、腹くくるかも。」

「して欲しい。」

「わかったよ、おやすみなさい。」

「おやすみ。」


 彼の覚悟に折れた。私は他の人とセックスする。そして精液を持ち帰る。

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