第41話 偽りの長い1日③

 友人とは11時の約束だったので、まだ時間がある。近くに神社があり、会う前に少し寄ることにした。今日の成功を祈願して。最近神社やお寺に行くと、彼と奥さんの不幸ばかりお願いしてしまう自分がいる。でも何度お願いしても夫婦円満っぽいので面白くない。酷い事ばかりする彼に罰を与えたい。耳鳴りよりももっと酷い罰を。奥さんが浮気すればいいのに。いや、ないだろうな。彼の奥さんは真面目そうだし、仕事も真面目だし、毎日定時に帰宅する夫を信じてる。浮気されているとも知らずに、変態だとも知らずに。


「松尾大社行ってくるわ。」

「ん?予定変更?」

「約束まで時間あるから、ひとりでぶらり。」

「カメラマン、京都の人?」

「いや、違う。」

「え。間に合うの?」

「もう、大体回ってきたから間に合う。」

「そなんや。癒やされた?」

「うん。寂しいけどね、ひとり。酒饅美味しかった。」

 寂しいのは本当の事。人間不思議なものだ。円満で待ってくれている人がいたら独りでも寂しくない。もしそういう人がいない場合、独りは寂しい。彼はいてくれるけど既婚者だし、私は独りとかわらない。だから寂しく感じるのかもしれない。

「また2人でどこか一緒に行こ。」

 そう言われると少しだけ嬉しい気持ちになるのも事実。

「うん。。」


 友人宅に着き、藁妬きの準備をして、酒盛りが始まった。もちろんカメラマンの家などではない。

「今から?楽しんでね。」

「はーい。」

「すぐ報告してね。」

「うん。」

「飲んでるよ。」

 友人と会話して美味しい刺身を食べて飲んで楽しむ私。

「お酒?」

「撮り終わったの?」

「まだ。そろそろ始めないとね。」

 そろそろ始めるフリをしないとうるさくなるか。。せっかくお酒を飲んでいい気分なのに。

「刺身とお酒でもてなされてる。脱がなくていいって言われたけど、今体絞っててまだどこ絞ればいいかわからんから、脱ぐって言った。」

 しばらく返信していないと、LINEが立て続けに入ってきた。いてもたってもいられない感じだ。


14時4分 「今から脱ぐ?」

14時57分 「。。。」

14時3分 「お酒の勢いでしてそう。。」

15時8分 「もう15時やのに。。」

15時9分 「報告は?」


 撮影しているにせよ、こんな頻繁なLINEに返事は難しい。自己中過ぎる。3時28分に「終わったよ。」とだけ返事をした。


15時37分 「どうやったの?」

15時37分 「見せてよ。」

15時40分 「終わったってだけで報告もないわ。。。」

16時00分 「終わったってのは僕との関係?ブロックしたかな?」

16時8分 「そうゆう事か。。今までありがとね。」


 友人にLINEばかりして悪いと思いつつ、16時10分に「何言ってるん?」と返事をした。

「写真データ貰ったから帰ってから整理して送るね。ちょっと買い物行ってから帰るから遅くなるけど。。」

 帰ってから少し全裸の写真を準備しないといけなくなった。面倒臭い。

「見たい。。はやく見たい。。」

「うん。。」

「したの?どこまでしたの?」

「してない。」

「本当に?」

「されそうになった?」

「ううん。残念?」

「うん、残念。オ○コ見られた?」

「ごめん、見られてない。」

「謝らないで。僕のただの性癖やから。彼はその写真でシコるかな?どんな会話しながら撮影した?」

「表情固い、体がぎこちないって。」

「口説かれた?」

「少し。。」

「やっぱり。。。なんて?」

「触っていい?って聞かれた。」

「触らせた?」

「ダメって言った。」

「どこを触りたがったん?」

「乳首。」

「オ○コ見られた?」

 同じ事ばかり聞いてくる。

「股は開いてない。興奮するって言われた。」

「勃起してた?」

「わからんよ。」

「乳首触らせてたらもう止まらんかったやろ?」

「10秒で全裸になって、淡々としてたんやけどね。」

「セックスしたかった?」

「脱ぐの躊躇いもなく早!って言われた。変な気持ちになりたくなかったし。」

「昨日オナニーしておいたんは、セックスしたくなるのを防ぐため?」

「うーん。ただ、したかったからやけど。」

「無理矢理されてたらセックス楽しんでた?」

「触ろうとされたよ。」

「オ○コ?少し触らせた?濡れた?」

「触らせんかったよ。。こんな淡々としてるのに、よくそんな気になるね。って言ったら、そんな気なかったけど、見たら我慢できなくなるって言われた。」

「オ○コ触られそうなったの?」

「おっぱいだって。」

「ゴムは?持って行った?」

「持って行ってない。」

「次は犯されるから持って行っておいて。」

「だから、やらんから。他の人捜そう。」

「他の人って?」

「ハプバーとか。」

「女性用風俗とか?」

「そんなお金かける?」

「ヤリモク探す方がいいかな?」

「任せる。」

「どれがいい?前にゆーてた、飲みに行ってやらせる直前までいった相手は?」

「知り合いの場合、撮影はしたくないけど?」

「そか。でもヤキモチ妬きたい。」

「今日のはヤキモチ妬いた?」

「少しだけね。セックスしてたら爆発してたわ。。」

「ダメって言い過ぎて、じゃあこれだけお願いって言われたから、抱きしめさせてあげた。」

 少しだけ嘘のサービス。バカな彼を興奮させる為の。

「裸を?」

「そう。」

「キスした?」

「してないよ。されそうにはなった。」

「1回限りでさせてあげてよ。。」

「セックスしてたらあなた爆発してた?」

「今度会うときセックスするやん?たぶん1発やろうけど。今日セックスしてたらヤキモチで3発は連続でしてると思う。」

 どうでもいいわ。

「そういう爆発なんやね。」

「取り返したい!って気持ち。で、より好きになる感じ。」

 そんな好きになり方しかできないのか。こんな形で好きになられて私は満足?

「気持ちも少し持っていかれるような人がいいと思う。」

「好きになりたいの?」

「いや。その方が、取り返したいって思わない?体だけ取り返せたらいいん?」

「思うよ。そのカメラマン最適やん。」

 どこが?こいつバカか?人の話全部聞いてない。自分の希望ばかり。

「私全く気持ちないけど?」

「相手にあればいいから。」

 話が繋がらない。

「私になくてもいいのね。じゃあ、こないだの飲み友達に行ってもいいよ。」

「ハメ撮りできんやん。」

「できないね。」

「するならハメ撮り出来る人がいい。言葉だけならわからへん。」

「そんな知り合いおらん。ハプバー行ってくるわ。。」

「いつ?」

「ハメて撮ってきたらいいんやろ?」

「うん。」

「いつならいけるん?あなたは?こないの?一緒にいけるなら、一緒の方がいいやろ?目の前で見せつけられるんやから。」

「昼間なら空けるけど。」  

「夜いける時教えて。」

「うん。一人で行く時は早めに教えて。」

「一緒にいくから。」

「だいたい何時から?どこにあるん?」

「自分の都合に合わせて調べてくれたらいい。

知ってるとこ行きたくない。」

「なんで?知り合いいるから?」

「わからない。今は働いてないと思うけど、何か嫌や。」

「ヤッたことある相手おったら気まずいとか?」

「やったことない。」

 彼は私を淫乱にしたがっている。

「大阪ならミナミの方かな?京都は1つしかなかった。」

「調べて貰って好きなとこについていきます。」

「わかった。調べとく。写真は夜?」

「子ども寝てからしか無理やわ。」

「飲み友達としてもいいよ。ハメ撮りなんかいらん。。Rさんの好きにしたらいい。」

 は?散々ハメ撮りハメ撮り言うててそれ?頭がおかしくなりそうだ。これは鬱病の傾向なのか?

「わかった。夜なら大阪にしてね。2人とも大阪住んでるんだから。」

「飲み友達とは?どうする?」

 ああ、そういう事?ハプニングバーに行く勇気が突然なくなったから、ハメ撮りなくていいから飲み友達とやってこいという事?

「やっぱ京都でいい。早めに出れば帰れるし。

飲み友達とはやらないよ。」

「緊張する。。」

「常連なるんちゃう?あなたは他の人みつけてしまって。」

「それはないわ。。Rさんとセックスがしたいんやもん。」


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