第25話 調査結果報告書

2022年4月12日


 興信所へ行った次の日、先生に調査結果を報告した。


・興信所は土地の権利書も出してきました。彼のお店の持ち主はおそらく奥さんだと思います。名前が旧姓なのか名字が違う為、そこまではわかりません。でも購入時はまだ結婚していなかったと考えるのが無難だと思います。19年前に購入しています。彼が21歳ぐらいの時。購入1年後にカフェをオープンしていて、2人で経営していたと考えられます。2階も人に貸し、その頃はまだ大阪に住んでいたのかもしれません。


・13年前に彼名義で家を購入し、9年前そこに姉妹店をオープンしています。購入時の住所は大阪になっていました。1階はお店になっていて、2階は居住スペースになっています。そこに2人は住んでいます。彼のお店が終わってから何度もそこに帰る姿が確認されました。おそらく、そこに引っ越した頃に結婚したのでしょう。約10年前、彼が話していた京都探索をよくしていた頃、既婚ダミーの時結婚して10年だと、そして母親の病気で実家に帰った頃に重ねる事ができます。姉妹店は奥さんが店主で、そのお店に黒猫と三毛猫がいることがインスタグラムからわかったそうです。独身ダミーに話していた内容ですね。猫の謎も解けました。彼は犬は飼っていないのでしょう。チワワは実家の犬の事なのか、大阪の住所には今は別人が住んでいるらしく、病気の母親含め実家はどこにあるのか等は謎のままです。


・姉妹店は彼のお店から15分程で歩いていける距離でした。自転車なら5分とかからないでしょう。私が歩いていた駅からの道を逸れると彼の家があります。彼が駅までの往復をやたらタクシーを使うように言ってきたのはそういう事だったんですね。なだらかな坂がいちばん足に悪いとか、心配するふりをして、自宅兼お店付近を歩きでウロウロされたくなかっただけなんです。姉妹店を見つけられる事を恐れていたのかもしれません。でも彼は、そんな近くで店に私をま連れ込みセックスし、姉妹店から歩いて5分ぐらいの場所にあるホテルでセックスし、近所のカフェや、神社に2人で歩いてデートしていたんです。凄い度胸ですよね。


・彼の奥さんは姉妹店のブログを公開しています。今度ゆっくり読んでみようと思います。


・夫婦でよく海外に雑貨の買い付けも行って、2店舗で売ったり、ネットで売ったりしています。そういう意味でも奥さんとの絆は深いと感じました。仲良いと既婚ダミーに彼が言っていたのも納得ですね。そして、夕方は店を早めに閉めて真っ直ぐ家に帰っているそうです。真面目さもアピールし、遊ぶとすれば昼間だったのも納得できます。


 そんな報告書を送りながら、私は混乱で自分がこれからどうすればいいのかわからなくなった。先生は何と言うだろう。すると先生からすぐに返事が入った。

「結果を聞いて、どうしたいと思いましたか?」

「正直、深入りしてはいけないとは思います。。でも、もう一度会いたいとも思います。復縁したいと思ってしまいます。

事実を知って気持ちの整理はついたんですが、やっぱりまだ好きなんですよね。。」

 既婚者と復縁したいと思っている事に対して先生にどう思われ、軽蔑されるのだろうと思った。でも先生には素直に自分の気持ちを伝えた。そうしないと、自分が自分らしくいられなくなる。

「なら、そこに向けてやっていきましょうか。」と先生からの返事。

受け入れて貰えた。そう感じて胸のもやもやも消えた。全てを知って余裕ができた事で気持ちが楽になった部分もあったのかもしれない。

「はい、お願い致します!」

「こちらこそお願い致します!」


 私は復縁活動を継続するんだ。

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