第2話

 ソウルメイトとは。

 ソウルライフカンパニーが開発した玩具用小型ロボの事だ。


 スキルと呼ばれるパーツを背中、両腕、両足に自由にカスタマイズし、バトルを中心に競い合う事を目的とした玩具だ。

 元々、警備用小型ロボを開発していたけどライバル社に先を越された為、玩具用にシフト。見事、大ヒットとなり、今では世界中で展開されている。


 という設定である。

 なお、ソウルメイトの世界は小型ロボが主流となっている近未来という設定だ。


 で、そのソウルメイトを始める前に使用するソウルメイトを登録しないといけない。

 それで。


「わあ~! 大きい建物だね! お姉ちゃん!」


 四つ下の妹・ヒバナと一緒にロボセンターに来ています。


 ロボセンターとは大きな町に一つあるソウルメイトを操る者達――ソウルバトラーの交流を目的として建てられた大型娯楽施設である。

 此処でソウルメイトの登録を行うことで無事にソウルメイトの操縦者となり、ソウルメイトの世界へと羽ばたくことが出来るのだ!!

 と格好つけたように言ったけど、全っ然気乗りしない。

 ロボセンターには登録する為じゃなくてヒバナが行きたいと言ったから来ただけで・・・・・・。

 はあ~、本当にどうしよう。抱えている主人公の愛機であるライオンをモチーフにした赤いロボ、ホムラライオンを見る。

 主人公じゃない、アタシがホムラライオンを使って良いんだろうか。


「お姉ちゃん!! ボサッとしてないで行くよ!!」

「こ、こら!! 引っ張らないの!!」


 中々入ろうとしないアタシに痺れを切らしたヒバナが手を掴んで引っ張る。

 これはもう仕方ない、腹くくって入るか。


「いらっしゃいませにゃ~♪ 君達は初めましての子達かにゃ?」


 入ると受付嬢がアタシ達に声をかけてきた。

 この人はソウルメイトの原作に当たるアーケードゲームや当然、アニメにも主人公達を易しく見守るお姉さんキャラとして出てくる案内役の寧々子さん。

 もう既にお気づきの方はいらっしゃると思いますが、必ず語尾に「にゃ」を付ける猫系お姉さんキャラです。

 実際に居たら痛い人だけど、この世界だと普通に受け入れられてる。まあ、そうじゃないとスムーズに話進まないしね。


「私のお姉ちゃんがソウルメイトを登録しに来ました!!」


 アタシに代わりヒバナが寧々子さんと話す。

 アタシの妹であるヒバナはアニメ以上にソウルメイトが好きだと思う。

 ヒバナはアニメオリジナルキャラクターで後に漫画版の番外編で出てくるキャラ。ソウルメイトに夢中なせいで何処か抜けてる兄・ホノオよりしっかり者の妹なんだけど、この世界では年相応な子だ。

 仕事で多忙な両親よりもアタシに懐いてる感じだし。まあ、可愛いから良いか!!


「あにゃたがこの子のお姉にゃんかな?」

「はい、厚木ホノオと言います」

「それじゃあ、ソウルメイトの登録はコンタクトルームで行いますにゃ。そこで自身のソウルメイトとコンタクトを取って登録して下さいにゃ。それじゃあ、ご案内しますにゃ~。妹ちゃんは此処で大人しく待っててねにゃ~」

「は~い!!」


 元気に返事をするヒバナに見送られながらコンタクトルームに案内される。

 コンタクトルームとはその字の通り、ソウルメイトとコンタクトを取る部屋だ。

 そこでソウルメイトに自身の顔を認識――コンタクトし、登録を行う。


 通されたコンタクトルームは真ん中に円形のテーブルが宙に浮いていた。此処で近未来要素が出てきて、少しはしゃぎたくなるが我慢。


「では、中に入ると扉が自動に閉まりますにゃ。登録が終えると開くようになってるのでご安心を! それじゃあ、妹さんと待ってるにゃ!」


 去って行く寧々子さんに妹を宜しくお願いしますと伝えてテーブルに近づくとフワリと椅子が現われる、此処に座れという事ですね。

 あれだけソウルメイトに興味ないとか思ってたのに、こんな展開を目の前に見せられたらドキドキしちゃうじゃない!!

 アタシは胸の高鳴りを抑えて椅子に座った。






――ホノオが登録しようとする頃。


「これが、これが彼奴が母さんと妹を放ってまで開発しているソウルメイトのデータか」


 顔を隠しているが顔立ちが非常に整っているのが解る少年がロボセンターの最深部にある開発室で何やらデータを見ていた。

 少年は憎々しげにデータを見終わった後、チップを取り出しデータが保存されている機械に入れる。


「このデータを盗めば、彼奴の夢は・・・・・・」


 楽しげに口を歪ませながら少年はチップにデータを取り込もうとするが。


――ピー! ピー! 侵入者! 侵入者です!


「チッ!! くそっ!! 警備システムを導入していたか!!」


 警報が鳴り響き、少年はチップを取り出すとその場を離れた。

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