第29話 10回クイズ2

「妹ちゃん。10回クイズしませんか?」

幼馴染と椿がリビングで騒いでいた。

「何?お姉ちゃん。やっぱり中身年下でしょ。」


「隣の柿は良く客食う柿だ。って10回言って。」

うん?


「それは、早口言葉だし、無理。」


「もしかして、言えないんですか?それともクイズ答えられないのが怖いんですかね?ああ、まあ大学生になっても出来ないんですか?」

あっ、これは絶対に前に僕が幼馴染にやった奴だ。


「出来ますよ、出来るに決まってますよ。」

そう椿は言いながら10回『隣の柿は良く客食う柿だ。』を繰り返した。


「妹に問題です。柿には、渋柿と甘柿があります、どちらの方が糖度が高いでしょうか?」


「何ですか?それ。でも、あれですよね。ひっかけで実は渋柿のほうが甘いとかですよね、姉さん。」

あっ。


「正解は、糖度は同じぐらいです。それじゃあ、リベンジマッチです。空くん10回クイズしませんか?」

幼馴染はそう言ってこっちにやって来た。

椿は不機嫌になっていた。


とりあえず、先手を取れば良いか。

「じゃあ、僕が問題だしてあげますよ。」


そういうと彼女は

「えっ、また。……まあいいですよ、引っ掛かりませんよ、私。」

10回クイズか。えっと……


「ピザって10回言って。」


そう僕が言うと彼女は、こっちを睨んだ。

「なんで、そんな小学生でも知ってるの出すの?ねえ、違うのー出して」


「もしかして、クイズ答えられないのが怖いんですかね?ああ、まあ高校生の君には出来ませんよね。知ってます知ってます、良いんですよ、出来なくても星宮 楓さん」


そう僕が煽ると彼女は

「高校生は関係ないでしょ。出来ますよ、出来るに決まってますよ。見ててくださいね。ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ、ピザ」

言い終えた、彼女にクイズを出すことにした。


「ここは?」

ひじを指してそう尋ねた。


僕の言葉を聞いて彼女は目を見開いた。

「ふっ、簡単ですよ。」

答えようとした、幼馴染を遮り


「まだ、問題終わってませんよ。漢字で答えてください」

これぐらいだったら書けるのかな?でも普通大体ひらがな使うからパッと出てこない気がする。


幼馴染はフリーズした。ああ、これ思い浮かばないんだ。



そんな時に、少し不機嫌だった椿が全力の笑顔で、メモに漢字が書かれた紙を掲げながら

「空兄、私分かったよ。肘」

そう叫んだ。


「正解。はい、楓の負け」


「姉さん、雑魚ですね。」

ぐぬぬとなっている幼馴染をこれでもかと煽ってしまった。


「……もう、10回クイズはいいです。こう言う事じゃないんですよ。空くん。それに、椿は、負けてるじゃんさっき。」

地団駄を踏みながら幼馴染は僕と椿を睨んだ。


「どうでも、良いけど?ご飯食べます?」

とりあえず、夕食の完成を告げた。

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