第27話 月命日1

次の日、雨は止み、快晴になっていた。だから、僕は毎月の習慣を果たすために外出する事にした。

「何でついて来るの?」

それに楓が付いてきた。まあ土曜日で暇なのだろうが、しかし、今日付いて来るのか。


「逆に何で行くの?空くん。私はここにいますよ。」

幼馴染の生まれ変わりだとしたら、この人は自分の墓参りに行くって事になるんだよな。もう、訳わからないでしょ。お墓って何なのだろうか?


「月命日だから。」

まあでも習慣はそう変わらない。て言うかもう1カ月経ったのか。いろいろあったな、幼馴染の生まれ変わりが現れてからいろいろあった。


「私生まれ変わり生きてる。」

カタコトになりながら彼女はニヤッと笑っていた。何で日本語おかしくなってるんだろうか?


「掃除しないと行けないし。習慣だから。」


「まあ、確かにそれはそうだけど。」

まあ、それに墓参りの相手は、幼馴染だけじゃ無かった。


しばらく、無言で歩いていたが、再び幼馴染が口を開いた。

「それと何で妹は椿ちゃんはついて来ないわけ?」

椿は留守番していた。そもそも、僕1人で行くつもりだった。


「ああ、ついて来たりもしますよ。でも今日は家の周りの片付けをしてって頼んだし。」


「私聞いてないよ。」

言ってないからね。


「なんか散らかしそうだなって」

まあ、別にそんな事対して思っていないが、おちょくっておいた。


「偏見、酷い偏見。昔の純粋な空くんを返せ」

幼馴染はそう言ってから、ニヤッと笑っていた。偉く上機嫌だった。謎だ。


「まあついて来ても暇だと思いますよ。」


「大丈夫です。掃除手伝うから。」


「まあ、頑張って下さい。」

幼馴染はそう言って、ファイティングポーズをしていた。


「自分のお墓を掃除するのって変ですね。」

そもそも、自分のお墓を見る事が基本的に人生では無い。


「まあ、君の両親や僕の両親のお墓もあるので」


「それなら、久しぶりにお話し出来ますね。その、妹は、椿ちゃんは、私のお墓の前で泣いたり、喋ったりして無かった?」

幼馴染は妹の事が気になるらしい。


「泣いて無いですよ。喋ってないですよ。そもそも、君の事は良く覚えて無かったですよ。」

5歳の頃に亡くなった姉の事は流石に覚えていられないだろう。


「……そっか。確かに。でもだとしたら私の事馬鹿にしすぎじゃないですか?」

確かに、ずっと姉妹やっていたような距離感である。似てるとはいえ、不思議である。まあでも多分。


「威厳が無いし、歳下だからじゃ無いですか?」

こんなところだと思う。わからないけど。


「でも、前世合わせたら。私の方が余裕で年上だよ。空くん」


「でも、精神年齢は」

精神年齢は多分、楓は13歳、椿は14歳だ。


「精神年齢が負けてるって言いたいの?」

察しは良かった。


「うん、精神年齢は13歳ぐらいでしょ。変わってないもん。前世から。」


「うるさい。まあ、でも私の目標が増えました。空くんのお嫁さんに加えて、姉の威厳を取り戻します。」


「無理ですよ。」

どっちも無理だと思う。姉の威厳は勝手に頑張って欲しいけど。僕のお嫁さんは、まあやめておいた方が良いと思う。絶対に僕より良い人はいるしね。


「無理じゃないからね。それでずっと歩きなの?空くん」

まあ、歩くには少し暑かった。でも仕方ない。


「僕乗り物、乗れないんですよ。」

それに歩いて行ける距離にあった。


「あっ、そっか。そうだよね。まあ、歩くのも良いよね。空くんとお散歩も悪くない。」

こう言うところは幼馴染は昔から、察しが良くて、気が使えた。こう言う優しさは素直に尊敬出来る。


「あっ、そう、ジュースでも買いますか。」

そう言って幼馴染に少しの感謝を示す事にした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る