earlGray milk tea
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「ぼくもきらいです! ニンゲン! てか、生き物!」
およそ人間嫌いとは程遠い、満面の笑みで青年はいい放った。お茶の時間に、シナモンハニードーナツを頬張りながら。
「そうかね、キミ、口の周りにクリームが、」
「だってうるさいし、ガヤガヤしてるし、なに考えてるかわからないし、」
「それをそっくりキミに返すよ。キミ、口を拭きなさい、みっともない、」
「ねぇ、だってわりきれない、て、まだ円周率のほうがましでしょう、感情、そう、それがこの世でもっとも、」
「キミはいつも感情にまっすぐに見えるがね、あぁ、こぼれるからっ」
「あ! けどあれ! あの紅いスズラン!」
「アカツガザクラ、」
「あれは! 大切にしていますよ! 博士が好きなものはぼくも好きになろうと思いますから! だから博士の好きなココナッツのドーナツも、」
「はいはい、キミは黙ってものを食べれ、」
「あ! 博士、食欲ないですか? ぼくがドーナツ食べてさしあげ、」
「食べるっ!」
青年が研究室に寝泊まりするようになってからまたべつの戦争が、コノクニ国立大学植物生態学教室で勃発したのだった。
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