3.ふららちゃんの失敗

なつかしくて心の傷が治ってしまった」お巡りさんが言いました。

「さっちゃんに会いたいな」と、ひどら君。

「何て美味おいしそうなお話なの」るどんちゃんは口の中がよだれでいっぱいです。

 さすがはおじいちゃん。お話の力でみんなすっかり元気が取り戻せました。これで安心です。あとは自分の言葉で作文を仕上げて行くだけ、みんなはたくさんの意見や感想やアドバイスを出し合ってふららちゃんを応援してくれました。忘れないように全部生徒手帳にメモしておきます。ただ一つだけ、困ったことがありました。今度のコンクールは、パソコンで送るきまりになっていたのです。インターネットを勉強するためです。でも、ふららちゃんは自分用のパソコンなんて持っていなかったし、家のパソコンも個人情報がいっぱい詰まっているから使わせてもらえません。

「じゃあ、わしのを貸してあげよう。急がないから家に帰ってからゆっくり考えると良い」

 おじいちゃんはそう言って立ち上がると庭に出て、井戸で冷やしておいてくれた大きなスイカを八分の一の大きさに切ってくれました。四人はお寺の縁側に仲良く腰かけて、あっと言う間にふた切れずつたいらげてしまいました。


 今日から新学期です。

 教育委員会の一室で、課題コンクールの選考委員のおじさんが、ちょうど、ふららちゃんのパソコン原稿に目を通そうとしていました。けれど、おじさんはけがれを知らないそれは純粋な心の人だったので、お話を読みはじめたとたん、目をまわして椅子からひっくり返ってしまいました。

 ふららちゃんはもう中学一年生だったけど、パソコンが苦手でしたから、このお話、全部ひらかなで打ってから最後に一括変換いっかつへんかんしたまま読み返さずに送ってしまっていたのです。おじいちゃんのパソコンが、いつもおじいちゃんの使っている漢字をきちんと覚えて変換していたなんて、ちっとも知らないで …

 ですから、ふららちゃん、きっとあしたもあさっても、入賞しないかな、と楽しみに郵便受けをのぞいているはずです。


【 タイトル:きれいな電車 取材:ふららちゃん 】


 お自慰ちゃんが後妻だった半性器異常下肢かしと …

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ふららちゃんの失敗 友未 哲俊 @betunosi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説