〈人に失望した者〉山田花子

●山田花子の目的

 彼女の目的は樹上多次元世界から人を撲滅することである。彼女は知性を持つ全ての存在は悪事を行うために生まれたと考えており、倫理や道徳といった価値観は人が無限に悪事を行うための免罪符と見なしている。


 過去、いくつかの並行世界が山田花子の説得を試みたがそれは全て失敗に終わっている。初期の山田花子は自分に向けられた説得に対してその都度反論していたようだが、現在の彼女は対話自体を面倒で不毛と考えいる。そのため、どんな言葉を投げかけようと、彼女は一切対話に応じず、軽蔑のまなざしを返すのみである。


 山田花子がなぜ人の撲滅を志すようになったのかは、彼女が一切の対話を拒絶するので不明である。

 彼女は冷徹で無感情に人を抹殺していくが、一つ例外がある。自分の目の前に赤木鳩美が現れたときのみ、わずかながら怒りや憎悪の感情をのぞかせる。

 おそらく山田花子が元々の並行世界にいたとき、その並行世界の赤木鳩美と「何か」があったのだろう。その出来事が山田花子を〈人に失望した者〉に変えてしまったと思われる。


 山田花子の目的は樹上多次元世界から人を撲滅することだが、並行世界は常に増え続けているため、一つ一つ滅ぼしてはいつまでも目的を達成できない。

 そこで彼女は第1並行世界を目指している。第1並行世界は全ての並行世界の根源であり、もしこの並行世界の人が滅ぼされた場合、連鎖反応で樹上多次元世界そのものが崩壊する。


●山田花子の超自然技能

 彼女は複数の超自然技能を保有している。


・感情停止

 彼女は半径10メートル以内にいる対象の感情を停止させられる。特定の感情のみの停止も可能であり、闘争心を止めて無力化したり、あるいは生存本能に関係する感情を止めて自殺に追い込むことも可能である。


・運動停止

 彼女の視界内にあるあらゆる運動を停止する。重力による落下も停止可能なので、物体を空中に固定することもある


・時間停止

 彼女の主観時間で最大30分まで時間を停止する。時間が停止した状態で動けるのは彼女のみであり、多くの英雄がこの能力で敗北した。この能力には制限があり、30分を使い切ってしまったら、1週間以上経過するまで能力を再使用できない。


・知性体即死

 山田花子が持つ最終能力であり、現在いる並行世界の知性存在の活動を停止させる。生命であれば死亡し、機械知性であれば二度と再起動できない。

 ただしこの能力を発動するには、その並行世界にいる〈抑止力〉と呼ばれる存在を抹殺する必要がある。〈抑止力〉は〈大いなる良心〉の加護を受けており、これによって〈抑止力〉は〈人に失望した者〉の最終能力を抑制している。


破滅の嵐エンドストームの召喚

 エンドストームと呼ばれる戦闘生命体を召喚できる。このエンドストームも〈人に失望した者〉の一種である。

 前述の4つの能力とは明らかに法則性が異なるため、この能力は山田花子が数々の並行世界を滅ぼす旅の中で後天的に獲得した能力と思われる。


・転生

 山田花子を完全に倒すのは事実上不可能である。彼女は死亡した瞬間、無数の並行世界に存在する別の山田花子のいずれかに転生してその肉体を乗っ取ってしまう。


 山田花子の能力は、驚くべき事に〈大いなる良心〉の加護によってもたらされている。


 〈大いなる良心〉を構成する人格の大半がは山田花子の行いを「正義ではない」と判断し、〈抑止力〉となる者に対処させているが、〈大いなる良心〉の内部には「知性存在の撲滅こそが唯一にして最後の道徳」と考えている人格も存在し、それが山田花子に力を貸している。


・並行世界間の跳躍

 山田花子は単独で隣接する並行世界へ跳躍可能である。これも転生能力と同様に、〈大いなる良心〉内の過激派人格による加護と思われる。

  

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