After 10 years~Summer
アーク「…光。これからお前は私達の仲間だ。これ以上に励むがよい」
悪魔協会の祝福を終えた光はすっと立ち上げる。そしてアークデーモンの顔を見る
光「ありがとうアークデーモンさん。私は嬉しいよ。ただの人間なのにこんなにも祝福されるなんて」
そう言うとアークデーモンの横にいたヴァンパイアロードが言う
ロード「貴女はアタシ達の希望。こうやって悪魔協会を支援してくれてるんだから。ずっといてね」
ヴァンパイアロードが言うと光のすぐ横にピットフィーンドがいた。現在は恋人同士の2人…
ピット「光。お前は今から悪魔と同じ立場だ。良い働きを期待するぞ」
ピットフィーンドが言うと彼女の肩をぽんと手に置く。光は嬉しそうな表情を作った
光「アークデーモンさん。ヴァンパイアロードさん。そしてピットちゃん。私、これからも悪魔協会の人になるね」
光が言うと3人は微笑ましい顔になる。アークデーモンは最近では表情を作れるようになり喜怒哀楽がきちんとした人になった
アーク「私がこうやって人の心を持ったのは光、お前なんだ。だからこそ私は大切にしたいと思っている」
そう言うとアークデーモンはまた微笑みを作った。無機質なんて言われた魔王は今、感情豊かな魔王となっている
ロード「アタシだって光ちゃんがいたからこそこの悪魔協会は変わったの。アークちゃんと一緒で嬉しい気持ちなのよ」
ヴァンパイアロードは特別変わってはいないものの怒ると怖いというのが一切無くなった人である
ここまで言われると光はますます嬉しさが滲み出る気持ちになった。祝福されると本当に嬉しい気持ちになる
光「アークデーモンさん…ヴァンパイアロードさん…そしてピットちゃん…私、もっと頑張るからね!悪魔協会の光になるよ!」
光が新たな決心をして3人は嬉しそうに見守っていた
悪魔協会総本山。ここでは10年前と変わらない姿があった。いつもどおりに働く悪魔、不死、亡霊…
ある程度スタッフが辞めたり入ったりしてるが基本的には柱の位置は決して変わってはいなかった
ただ、9年前。新しく入ったヒューマンは支援会社にもかかわらずいきなり代表、副代表に期待をされて入ったヒューマンがいた
…塩谷光。彼女は支援会社に入社して5年間そこで働いていた。特別、下手なミスもせず働いていた
ある日、アークデーモン直々に悪魔協会に入ってくれという要望が来て光はそのまま悪魔協会に入った
そして悪魔協会からの祝福をされ光は悪魔同体の体となりそして悪魔協会の母と言われるぐらいにはその立場となった
現在。光は悪魔協会にいる。誰からも信頼され期待をされた羨ましいヒューマンがそこにいた
光はとりあえず前に勤めていた支援会社へ行き、ある程度話をして去る。単純な話が多かった
会社の扉を開けて空を見上げる。春に近い気候になりもうそろそろ海の解禁ではなかっただろうか?
この国は相変わらず暑い。だから悪魔も多い。そして悪魔協会総本山という存在があるからだ
会社の扉を開けて待っていた部下達に挨拶をする。悪魔協会総本山のスタッフだ
悪魔「母よ!もう終わりですか?」
光「うん。お金の話とかされるとわからないんだけどね…」
不死「大丈夫ですよ。後は代表様がやってくれますから」
光「そうだね。じゃあ悪魔協会に戻ろう」
悪魔「ははっ!」
光は考えたが母と呼ばれるのはなんだか照れくさい。光はまだ27歳の年齢である。子供なんていないのにね…
そう思って光は部下と共に悪魔協会へと戻っていった。今の時刻は夕方。日が傾いた時間であった
悪魔協会総本山に戻り着いてくれた部下達とは一旦別れる
高校生のときに総本山の建物を見て怖かったのとデートしてるときに部下達に会って若干怖かったのがもう懐かしい
光は今どんなものを見ても恐怖には感じていない。そんな心を持つようになった。いわば慣れたと言っていい
慣れた総本山に入っていたが部下が光に近寄り言う
悪魔「母。代表様と副代表様とピットさんとシェリルさんが食堂で貴女を待っていますよ」
光「え?そうなの?今から行くよ」
そう言うと光は食堂へと行く。ここの建物も案内できるほど分かってるもんだ。ちょっと急いで食堂に行った
食堂のドアを開いたらアークデーモン、ヴァンパイアロード、ピットフィーンド、シェリルがいた
光「みんな!」
ロード「待ってたわよ光ちゃん!さ、ピットちゃんの隣に座って!」
ロードに言われると光はピットフィーンドの隣の席に座る。夕飯だろう。様々な料理が並んでいた
光「アークデーモンさん。支援会社に行って聞いたけどこれからも支援の賃金は変わらないって」
光が言うとアークデーモンが光を見て言う
アーク「そうか。まあそうだろうな。それは後にしよう。食べるとするか」
光「うん!いただきます!」
様々な肉料理が並ぶ今日の献立。5人は美味しそうに食べていた
ヴァンパイアロードの飲んでるのはなんだろうか。血…?トマトジュース…?ざっと見た限りトマトジュースだろう
アークデーモンもトマトジュースを飲んでる気がする。血のジュースだなんて飲まないとは思う
ピットフィーンドもシェリルも飲んでるのは普通のジュースだった。光の前に置かれてる飲み物はジュースだ
光「こんなにも嬉しい気分になるとなんだか私幸せを感じるよ」
なんとなくつぶやく。それに反応したのはシェリルだった
シェリル「いいんですよ光さん。私達はあくまでも貴女を支える力が必要ですから」
シェリルは10年前と特別変わったことはない。相変わらず不死として生きている人物だ
光「でもね。私、ちょっと心配な悩みがあるんだ」
光がそう言うとヴァンパイアロードは飲んでたトマトジュースを飲んで言う
ロード「何!?心配があるって!?もしかしたらアタシ達の部下かしら!?」
ヴァンパイアロードは少し声を荒げて言う。それを聞いた光は慌てて修正の言葉を言う
光「違うよロードさん!…私の友達だよ」
光の友達。4人はすぐにわかった。同期のこうみと先輩のあいりだ
アーク「彼女達は…この国にはいないと聞いたが」
ピット「そうだよな。光?」
前に説明したがもう一度説明する
光「うん。こうみちゃんは高校卒業後ファッションの専門学校へ行ってたんだけど、その専門学校卒業した後シダレカに行っちゃってね…。
理由としてはシダレカのほうが何よりもファッションの最先端だって理由で私に別れの言葉を送ってシダレカに行ったんだ。
で、あいりちゃんは土木工事の仕事してたんだけど、ある日ふっと消えてしまったの。連絡してもちっともつながらない。
山城姉妹の実家に行って聞いてみたらあいりちゃん、ヒダンゲ以上の田舎の国へ移住しちゃったんだって…。連絡がつかないわけだよ」
ここまで言うと光は軽いため息をつく。こうやって大切な友達が別の国に行ってしまったことが寂しい気分となったのだろう
光の説明を聞いてロードは言う
ロード「こうみちゃんも、あいりちゃんも…アタシ達にとっては大切な仲間よ。だってあの時、デスちゃんを説得してくれたじゃない」
地獄へ行き魂が消える地獄へ行こうとしたデス。しかし光達の説得によりそれを防いだ3人。ロードは今でも感謝しきれないと思っている
アーク「そうだな。いつか戻るという連絡は無かったのか?」
アークデーモンが言うと光は悲しそうな顔をして言う
光「ううん。わからない。戻るって選択肢は無いんじゃないかなと思う」
ピット「そうか。だが…光には私達のような仲間がいる。それだけでもいいじゃねえか」
そう言うと光は笑顔を作った
光「そうだね。でもちっとも寂しくない。私を母だって言ってくれる部下達。そしてみんながいるもの」
シェリル「大丈夫ですよ。私が貴女を支えます。心配はいりませんよ」
シェリルは笑顔で光に言った。その言葉を聞いてアークデーモン、ヴァンパイアロード、ピットフィーンドが続けて言う
アーク「お前は人間だ。だが、あまり悩むな。なんでも聞いてくれ。私達は味方だからな」
ロード「光ちゃん。アタシ達もアークちゃんみたくずっと味方よ。こんな素晴らしいヒューマンはいないから!」
ピット「光。ずっと一緒にいような」
これも祝福の言葉だろう。天使協会とは違う祝福…光は本当にここへ来てよかったと今あらためてそう思った
光「ありがとうみんな。私は今嬉しい気持ちでいっぱいだよ」
食事を終えて光はそろそろ帰る時間。懺悔の間でアークデーモンとヴァンパイアロードはお見送りをしようとしていた
光はピットフィーンドとシェリルと一緒だ。アークデーモンとヴァンパイアロードはこの悪魔協会に住んでるためここにいる
光「じゃあねアークさんロードさん。明日もよろしくね」
アーク「ああ。夜が暗いからしっかり見て帰るがよい」
ロード「気をつけてね!」
そう言うと3人は扉を開いて帰っていった。アークデーモンとヴァンパイアロードは姿が見えなくなるまで見送っていた
2人は扉を閉めて見合わす。ヴァンパイアロードは相変わらずこの愛しい人の存在が嬉しいと思った
アークデーモンとヴァンパイアロードは前に結婚した。ヴァンパイアロードの押し押しで結婚したという感じだ
最初こそあまり乗らなかったアークデーモンだったが今では幸せそうにこのヴァンパイアロードを愛してやまない人となった
感情が変わった。そのことに対してヴァンパイアロードは嬉しい気持ちになるしアークデーモンだって嬉しかった
2人は見つめ合うとヴァンパイアロードが言う
ロード「ねえアークちゃん。お風呂入ったらアークちゃんのベッドに行っていい?」
2人の住む部屋は別々だがたまにこうして一緒に寝るときがある
アーク「お前は相変わらずだな。いいぞ」
既に慣れていた笑顔をほんのり作り言った
ロード「嬉しいわ~!アークちゃん!」
そう言うと2人は手をつないで別の場所へと向かった
ピットフィーンドの屋敷。10年前と決して変わらない屋敷だった。ただたまに老朽化があって多少なりとも補修はしていた
光はピットフィーンドの部屋でくつろいでいた。光自身ももちろん家があるがこうやってピットフィーンドのところに行くのはちまちまある
ピット「なあ光」
光「何ピットちゃん?」
ピットフィーンドは光に顔を向けて言う
ピット「お前が私に愛しているって言ってくれたの、10年前のデートだったよな?」
光「そうだね。え?もしかして結婚してくれって話?」
そういえば光は思い出したがピットフィーンドに愛していると言ったんだ。忘れもしない、あのときの言葉を
「ピットちゃん。この愛、一生忘れないよ。そして、これからも、ずっとピットちゃんっていう人と居たい」
「だからね…ピットちゃん…愛してる」
そんなこと言って、はて?どうして結婚してなかっただろうか?光はふと思った
結婚してくれという言葉を聞いてピットフィーンドはちょっとだけ慌てる
ピット「いや!そうじゃないんだが!ああ、そうでもあるんだが!…アークデーモンとヴァンパイアロードは結婚したっていうけどさ…
私達って意外とドライな関係だったのかなって思ったよ」
光「ドライという感じじゃないけど…私がその後就職するために何度も面接練習してしばらくピットちゃんにかまってあげられなかったね」
そう言うと光がピットフィーンドの目を合わせて言う
光「ピットちゃん。私が決して嫌いになってないし愛が続いてるんだから。落ち着いたら結婚しよう」
ピット「おおそうか。嬉しいな。なら悪魔協会のスタッフ総動員で結婚式をあげようか!」
光「うん!そうしようよ!」
光とピットフィーンドは笑いながら話す。ドライというより当たり前のようにいるから結婚がついつい先延ばしになっているのだろう
友情のほうが上向いていてまだ2人は結ばれていなかっただけだ。いつか結婚しようと決めた
ピット「全然違う話だが面白いことを悪魔達に言われてな」
光「面白い話?」
ピット「ああ。私と光の写真を見て悪魔達がおんなじ顔をしてるだなんて言われたぞ」
それを聞いて光は面白そうな表情をする
光「そ、そうかな~?ピットちゃんと私って同じ顔に見える?」
ピット「私達は似ているのか?それとも似てきたのか?まあ悪魔達の言い方だから鵜呑みにはしてないがな」
光「うふふ。面白い言われ方だね」
そう言うと光のスマホから着信が鳴る。こんな時間に誰だ?光はスマホを見た
…友達のこうみだった。光はすぐに電話をとる
光「もしもし!こうみちゃん!?」
こうみ「…光。久しぶりね」
こうみは相変わらず静かな口調だった
光「こうみちゃん…シダレカに行って…今どうしてるの?」
こうみ「…それを言おうとしたのよ。あのね…仕事も上手く行ってて最近では私がプロデュースするファッションの大会を任されたのよ…」
光「そうなんだ!すごいねこうみちゃん!」
光は思ったが私とはまた違う才能でこうみが成功してるのをびっくりするしかなかった
こうみ「…ふふふ、大変だけど今から楽しみだわ…光は、悪魔協会の仕事順調?」
そう言われると光は電話越しで笑顔を作った
光「うん!順調だよ!みんなに支えられて全然悪いところがないよ!嬉しい気持ちで仕事してるから!」
こうみ「…そう。よかったわ。光は悪魔協会、似合ってたからね。私も私で頑張る気持ちになれるわ…」
光は今思った事を言う
光「ねえ、こうみちゃん。あいりちゃん…今どうしてるの?田舎な国って言われてどこか知らないんだ」
こうみ「…姉さん?姉さんはアマリリスを出てってガイア国にいるわ。知ってる?ガイア国…」
そこは一体どこだろうか?この世界の国だろうが、ちっともわからない
光「うーん。わからないね」
こうみ「…そうでしょう。ガイア国なんてどが付く田舎だからね…。最後の情報ではそこで工房してるらしいわ…」
光「そうなんだ…あいりちゃん、大工さんできるんだ…」
こうみ「…趣味の延長線上らしいわ…まあ元気らしいから特別な心配はいらないけどね…」
光「うんわかった。ところでこうみちゃん、ずっとシダレカにいる予定なの?」
返事が不安な質問だが言ってみるしかなかった
こうみ「…ううん。今はとりあえずシダレカにいるけど、お金溜まったらいつかアマリリスに戻って店を開きたいのよ…」
そう言われると光は嬉しい気持ちになった
光「そうなんだ!嬉しいな!」
こうみ「…嬉しいって言ってくれてありがとう。私が戻ってきたら…高校時代のように遊びましょう…」
光「わかったよ!約束だよ!こうみちゃんと再び遊ぼう!」
こうみ「…うふふ。そろそろ遅いからもう電話切るわね…」
光「今日はありがとう!おやすみこうみちゃん!」
こうみ「…うん。おやすみ」
プツン…
電話が終わった。光は嬉しい気持ちになった。こうみが成功してるしいつか戻ってくる約束もしてくれた
あいりに関しては恐らく戻っては来ないかもしれないが、どこにいるかわかっただけでも十分に満足できる情報だ
嬉しそうな表情を見せたら側にいたピットフィーンドが言う
ピット「…こうみか?」
光「うん。仕事が成功してるしいつか戻ってきてくれるらしいから…嬉しくて」
ピット「そうか。仲間が戻ってくるのは嬉しい」
光「よかった…さ、もう寝よう?」
ピット「おう、そうだな」
そう言うと2人がベッドで一緒になって寝る
枕の大きいベッド。2人は横になっていた。ピットフィーンドが話しかける
光「ピットちゃん」
ピット「なんだ?」
光「私、幸せだよ。幸せなままピットちゃんと結婚式挙げたいし」
そう言うとピットフィーンドは光の顔を見て言う
ピット「おう。幸せならそれでいい。私だって幸せだ。シェリルもそうだろう。アークやロードもそう言うだろう」
光「そうだね…」
光は寝ながらピットフィーンドの手をぎゅっと握った
光「悪魔協会の光でありたい…そう思うよ」
ピット「お前ならできるさ」
光「嬉しい…ありがとう」
そう言うと2人が静かに眠った
アマリリスの夜
春に近く、そろそろ熱帯夜になりそうな気候だった
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