第12話 死語の世界・弐 ~昭和人に捧ぐ

 前回からの続き。



◎ 朝シャン

 朝起きて洗髪すること。

 資生堂のCM「朝のシャンプー」というフレーズを略したもので、昭和62年の新語流行語大賞の新語部門・表現賞を受賞。当時、朝食を抜いてでも髪を洗って出かける女子高生が急増した。その後、「朝は時間がない」「朝にシャンプーすると禿る」などと云われるようになり、下火になった。


◎ 〇〇してちょんまげ

「〇〇してちょうだい」というお願いごとをする際の語尾が「ちょんまげ」に変化したオヤジギャグ。


◎ 〇〇してみそ

「〇〇してみな」とお勧めする際の語尾を「みそ」とダジャレ化した言葉。

 名古屋の味噌会社による「つけてみそ、かけてみそ」がヒットし、流行した。


◎ ツッパリ

 若者が虚勢を張ったり、いきがることを表わす言葉。転じて、不良行為をする少年・少女を総称して使われた。


◎ フィーバー

 昭和53年公開のアメリカ映画「サタデー・ナイト・フィーバー」が、そのタイトル曲と共に爆発的ヒットを記録し、流行語となった。英語の「Fever」は、日本では「熱狂する」「盛り上がる」などの意味で使われた。


◎ 花金

「花の金曜日」の略で、金曜日の晩に飲み歩いて楽しむことを指すバブル用語。

 週休二日制が導入されて土曜日が休みの職場が増えたことで生まれた言葉。


◎ 五時から男

 昭和63年にヒットした栄養ドリンク「グロンサン」のCMコピー。

 高田純次さんが演じるサラリーマンが夕方5時になると元気に遊びに出かけるという内容で、仕事よりも遊びに精を出す男性を表わす言葉。


◎ ワンレン

 ワンレングスの略。ストレートの髪を同じ長さで切り揃えたバブル期の女性の代表的な髪型。その派生で、全体的にウェーブパーマをかけた「ソバージュ」、前髪を外側に巻いて立ち上げ、ハードミストで固めた「トサカ前髪」も流行した。


◎ アッシーくん

 自ら運転する自家用車で女性を送迎する男性のこと。

 女性にとっては都合の良い男性を指して云う俗称。電話一本ですぐに来て「足代わり」を務めることからこの名前がついた。

 バブル期の六本木周辺では、女性を送迎するアッシーくんの車としてBMW3シリーズが多く目撃されたことから、当時国内で最多の販売台数を誇るトヨタカローラになぞらえてBMW3シリーズは「六本木カローラ」とも呼ばれた。


◎ イタ飯

 バブル期に人気だったイタリア料理のこと。女性に食事を奢るメッシーくんと呼ばれる男性たちが、こぞってイタリアンレストランを使用した。


◎ バタンキュー

 疲れ果てた状態で帰宅し、すぐに寝てしまうことを意味する。

「バタン」と倒れ込む音と「キュー」と空気が抜ける音を合わせた言葉。


◎ 驚き桃の木山椒の木

「驚き」の後に語呂合わせで木の名前を続けたもの。

 映画「男はつらいよ」のフーテンの寅さんを演じた渥美清さんの台詞で、テキ屋の売り口上として言ったことから広く使われるようになった。


◎ カマトト

 女性が世間知らずや初心うぶを装ってかわい子ぶる様子を云う。

 江戸時代に、女性が世間知らずを装うために「蒲鉾は魚のトトからできてるの?」と尋ねたのが語源という説もある。


◎ よっこいしょういち

 グァム派遣から約28年後の1972年に帰還した元日本兵の横井正一さん(当時57歳)と「よっこいしょ」の掛け声を合わせたギャグ。


◎ そんなバナナ

 驚いた時に思わず発する「そんなバカな」と果物のバナナを掛けたもの。

 小林よしのり先生のギャグ漫画「おぼっちゃまくん」の主人公・御坊茶魔が使う茶魔語の一つ。他にも「ともだ〇んこ」などがある。

 

◎ バイちゃ!

 鳥山明先生の漫画「Dr. スランプ」の主人公・アラレちゃんが使っていた別れの挨拶。他にも「こんにちは」を意味する「んちゃ!」などのアラレ語が1980年代に流行した。


◎ あたり前田のクラッカー

 時代劇コメディ「てなもんや三度笠」(1962年~1968年 テレビ放送)で、藤田まことさんが演じるあんかけの時次郎のギャグ。

「前田」とは、番組のスポンサー「前田製菓」のことで、その主力商品が「ランチクラッカー」だったことからきている。


◎ アッと驚く為五郎

 バラエティ番組「巨泉×前武 ゲバゲバ90分!」(1968年~1971年 テレビ放送)で、クレイジーキャッツの、はな肇さんがコントの合い間にヒッピーの格好をして叫んだギャグ。


◎ ニャンニャン

 〇行為をすることの隠語。

 1983年、当時人気だった「わらべ」の高部知子さんのベッドでの喫煙写真を元カレがリークし、写真週刊誌「FOCUS」に掲載された。

「ベッドでふたり仲良くニャンニャンしちゃった後の一服である」と記事に書かれたことから使われるようになった。その由来は、わらべのヒット曲「めだかの兄妹」の彼女のソロパートに「ニャンニャン」という歌詞があることからきている。


◎ トルコ風呂

 女性が男性に〇的なサービスをする風俗店のこと。そこで働く女性を「トルコ嬢」と呼んでいた。

 1984年、トルコ人留学生の抗議により、「ソープランド」に改まった。


◎ それを言っちゃあ、おしまいよ

 1968年から1995年まで続いた長寿映画「男はつらいよ」の主人公・フーテンの寅さんの名台詞。

 面白くないことや酷いことを言われた時に返す言葉で、寅さん役の渥美清さんのアドリブで誕生したもの。




「昔々、その昔、昭和人がおりました。現在いまもおります。元気です \(^o^)/」

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