第6話 父


「さて…セイル、少しだけ…席を外してくれ、彼と二人きりで話したい事があるんだ」

「え…?いや、俺はいいけど…」


いきなり席を外すように言われて困惑する師匠


「師匠、俺もいいですよ、ちょうど俺も師匠の親とは話したかったですし」

「そ、そっか…じゃあ、ちょっと外に出てくる」


師匠が部屋を出ていく、扉が閉まる音が響く


「…」

「…」


沈黙の中、最初に話し始めたのは師匠の親…エクスさんからだった


「君が…セイル言っていた一番弟子か?」

「はい、俺が師匠の一番弟子ですよ」


「娘のトラウマ治してくれた事、非常に感謝している、そして済まない、私の考えが至らず娘に一生ものの傷をつけてしまう所だった」


予想もしていなかった謝罪

俺は一瞬面食らうが、それにより更に疑問は膨らむ


「娘…?はともかく俺はできる事をしただけです、それより聞きたいことがあります、なぜ、あなたは師匠に才能が無いなんて嘘を付いたんですか?」


疑問とは師匠の扱いだ

話を聞く限り親子の情はある、なのに何故師匠は才能が無いなんて嘘を付いたのかが分からなかった


「…それは、娘に、セイルに不幸になって欲しくなかったからだ」

「才能があるのに不幸…?何故ですか?」


その理屈はおかしい、なんせ彼処まで才能がある上に師匠は剣を振るのを何より楽しみにしている


師匠に嘘を付いてまで剣を振らせない事と師匠の幸せに関連性があるとは思えなかった


「そうか、確かにそうだ、しかし私はセイルに魔術師になって欲しかったんだ」

「魔術師に…?いや、確かに師匠には魔術師になれる位の魔力はありますが…」


それでも師匠の才能や気質的に剣士にしたほうが…


「剣士では駄目なんだよ、確かに魔術師には君のように優しい人も居る、しかし大半の魔術師は剣士を馬鹿にする、剣士を見下す、セイルにはそんな立場になって欲しくなかった」


そうか…剣士では駄目な理由、それは剣士の立場の低さから来るものなのか…


「分かりました、じゃあ俺が師匠のセイルと一緒に剣士蔑視の風潮、ぶち壊してやりますよ」

「…そうか、娘は良いパートナーを見つけた様だ」


だから娘ってだれ??


「ところでレアくん、君はセイルのどんなところが好きなんだい?」

「えっ?あー、剣に真摯なところですかね?」


たぶん、いや尊敬するところならともかく好きなところって言われても…ねぇ?


ーーー


あのあとは何故か顔が真っ赤な師匠と一緒にエクスさんや師匠の兄弟のシキさんと話した


それと始めて師匠が加わったパーティーでダンジョンに潜る事になった、楽しみだ








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