コーヒーのうまい店

 町にある静かな喫茶店きっさてん

 そこは、コーヒーのうまい店として有名だ。

 俺も最近、頻繫ひんぱんに足を運んでいる。

「お客さん、最近よくいらっしゃいますね」

 ある日のこと。カウンターでコーヒーをたしなんでいると、マスターから話しかけられた。

「ええ、ここのコーヒーが気に入ってしまいまして」

「ふふ、ありがとうございます」

 マスターの微笑ほほえみを見ながら、またコーヒーを一口。

 うん、うまい。

 さて、読書でもしようかな。

 ……どれくらい時間がたっただろうか。

 こんなにのんびりできたのは、いつ以来だろうか。

 社会人になって、忙しい日々を送っていたが、こうやってリラックスする時間は大切だ。

 しかし、ここのコーヒーは、何か中毒性がある気がする。

 それほどおいしいということなのだろうが、何だかきになる。

 もしかして、何かヤバいものを……?

 いや、そんなはずはない。流石に小説の読みすぎか。

 そう思いながら、会計を済ませ喫茶店を後にした。


 あれから1週間。

 ますますあの喫茶店のコーヒーを飲んでいる。

 ここまでくると、流石におかしいと思わざるとえない。

 何か体に異常が起きているのは、確実だ。

 怪しい薬物……。

 緊張しながら病院へと赴く。

「先生。俺の体は、どうなっているんですか?」

「カフェインの取りすぎです」

 喫茶店の皆様。誠に申し訳ございませんでした。

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