第9話 「エンディング」
「そっか…。れい君には、かなわないな。あ〜あ。せっかく上手くいったと思ったのにさ。ごめんなさい先生」
博文君は、しどろもどろに謝罪する。
「……」
田中先生は、無言のままだった。言葉を選らんでいるのだろうかな。
「田中先生、少しだけよろしいでしょうか?」
静かに聞いていた石巻おじさん先生が語りかける。
「え、ええ」
「やった事は、悪い事です。でも、優しい。結果だけじゃ無くて、理由を見てあげること、大事なんじゃないでしょうか。僕は博文君に教えて貰った気がします」
「そ、そう。博文君、やった事は悪いよね?分かるよね?でも、美幸ちゃんを思いやる気持ちが先生も嬉しいの。一人で考えないで、相談して良かったのよ」
涙もろい田中先生は、涙を浮かべる。ムロちゃんや、ユッキーも僕らを優しく見つめている。
「先生ありがとう。ごめんなさい」
ヒロ君の声に力がこもる。叱らない先生に対して、余計に申し訳ない気持ちになっているみたい。
そして、ヒロ君が、美幸ちゃんの方だけを見れないでいるのに僕は気付いた。ヒロ君の気持ちがなんとなくわかる。照れくさいんだろうな。
そして、しばし、間を置いてから、美幸ちゃんの声が響く。
「博文君、ありがとう!」
クールな美幸ちゃんが、明るく微笑んだのである。
「ごめんね。美幸ちゃん」
ヒロ君はやっと安心した表情になる。いつもの穏やかなヒロ君の顔を僕らに見せたのである。
みんなが優しい笑顔になる。温かなぬくもりが僕らを包みこんでいた。
その時だ。僕の気持ちの中で、新しい何かが芽生えるのを僕は感じた。
一一『僕は、いつか本当の探偵に成りたい!そう、ひとに優しい探偵に』
僕は、この時、決意した。
優しい探偵〜少年探偵スクール編〜
END
優しい探偵 ▶スクール編(児童向けコンテスト作品) 木村れい @kimurarei0913
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