第7話 「桃介いたんかい!」

 

 しばしの静寂せいじゃく…。


 



 「くちゃくちゃ」

 何かを噛む音が響く。


 「……!?」


 逃亡少年、吉田桃介君である。

 (居たの?)



 

 「あれっ、桃介君!オヤツの時間じゃないでしょ!」ムロちゃんが驚きの叱責しっせきをする。


 「え〜。くちゃくちゃ」



 「ムロちゃん、ごめん。私が桃ちゃんに、あげたんだよ。私、桃アレルギーだから。今日の桃味のフルーツグミ食べれなかったの」


 「美幸ちゃん、言ってくれたら良かったのに〜。そしたら、他のお菓子と交換したんだよ〜」

 

 おい、おい、桃介君に桃のグミって。めちゃ、ややこしいな…。

 さっきは桜ちゃんが、桜餅の匂いがするとか…。似た言葉で、随分と渋滞してるよ。


 


 


 「いや、まてよ…」

 突然、僕の頭の中がぐるぐる恐ろしい勢いで、歯車が合いだして、回りだしたのである。


 チャラララララ、チャララララ〜チャララララ〜、チャララッラ〜〜♪♪


 謎解きのときは多分、こんなバックミュージックがかかっているはずだ。(ヨシヨシ) 

 

 走馬灯そうまとうのように色んな場面が頭を駆け巡る。






 一方では、皆が、お手上げ状態で、考える事を諦めかけていた。やれやれ。そんな時である。


 


 「田中先生!謎は、解けました」 

 僕は、自信を持って言い放ったのである。

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