第4話 「仲良し四人組」

 程なくして、語り部のおばちゃんが学童クラブにやってくる。この定期的に登場するボランティアの語り部おばちゃん2人組は意外と人気がある。1年生を中心に10数人は、周囲に集まって、お話に耳を傾けていた。


 この学童は、自由度が高い。静かに話の邪魔をしないよう遊ぶことを条件に、語り部さんの話に全員参加は、強制されていない。 


 僕は、やっぱりお話には、参加しない。中程の本棚の横の壁際に座り、傍観ぼうかん(※1)していた。


 僕の周囲には、いつも集まる仲間がまばらに、ウロウロと、何となく居たように思う。


 何時も仲良く集まるのは、同学年の僕を含むだいたい4人で、今日は全員出席していた。


 まずは、クールなツンデレ美少女の朝比奈美幸あさひなみゆきちゃん、先程の高橋やよいちゃん、穏やかでスポーツが得意なヒロ君こと荒井博文あらいひろふみ君である。


 ちなみに、ヒロ君の親は街のコンビニ店をしているが、隣には、朝比奈医院があって、美幸ちゃんは、そこの娘だ。お父さんが医者で、お母さんが看護師で、ヒロ君は保育園からの幼なじみになる。少し羨ましい。


 また、朝比奈医院を建築したのは、実はやよいちゃんのお父さんが勤める建設会社だったりする。


 さらに美幸ちゃんのかたわらには、匂いに敏感な面白キャラ、1年生、さくらちゃんがくっついていることも多々ある。


 あとはと…。冒頭の桃介君は、はるか離れた部屋の片隅に一人ポツンと居て、窓から外の空を眺めていた。スイッチ切れたかな。

 また、桃介君には、逃亡とうぼうするくせがある。外にさえ出なければ誰にも迷惑もかからないのだけど…。





※1【傍観】そばでながめること。当事者でないという立場・態度で見ること。

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