いい子症候群

Throwing a wobbly

　好かれるなんて疾（と）っくに如何（どう）でも良い事だった筈なのに、アレだとかコレだとか丸で散らかった手記（カルテ）の様に細々と勝手に真っ直ぐな解釈で、痛々しい同情心と言う名の刃物を向けられる。いつの間に今（こん）な風に至ったのか。

　目線なんて合わせて貰った事が無いから、此方（こっち）から今更、合わせたところで裂かれた感情で織った解（ほつ）れ旗（ばた）を降るだろう。勝ち負けで無く、然うでは無く、生物に備わった術（すべ）とやら言う危機に因（よ）る純粋な勘がアンテナを張ってエラーを鳴らすんだ「心を許すな」と。其れすらも、若いから未熟だから未経験者だからアレだからコレだからレッテルを貼られる。歯（　）軋（ぎし）りしてい無いのに、歯並びが悪いのは悔い強ばり過ぎたんだよ。

　好い子を演じた心算（つもり）は些（すこ）し足りとも無かったが、如何やら誰も彼も見向きが無いくらい媚びる事も諦めた道化師か、群を築（つく）る才も無い深傷（ふかで）を負い戦意喪失した狼（いぬ）か、如何（いか）程に。アンタの前では首部（こうべ）を垂れて盗人にでも成っち俟（ま）って演（や）っても良いや。