第十九話 エンカウント ゴブリン⑤

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ゴブリンは、怒った。


そして同時に、この人間に恐怖してもいた。


格下だと思っていた。


だが、ゴブリンが攻撃したとき、いきなり何かが出てきた。


そしてアイツは、ゴブリンの攻撃を防いだのだ。ゴブリンは、困惑した。その隙を見て、アイツはゴブリンを飛ばした。


不意の出来事でなにも出来ず、ゴブリンは地面を転がり無様に倒れた。その事に対して、当時のゴブリンは怒っていた。


殺す!


殺意だけがゴブリンを動かす。


だが、アイツは逃げ出した。

いつものゴブリンならニタニタ笑っていただろうが、今のこのゴブリンはひたすら追っていた。


だが、アイツはあろうことか、剣まで出した。武器を出されたことでゴブリンは少しだけ怯むが、それでも止まろうとはしない。


ただひたすらに武器を振るい続けた。


しかし、アイツには当たらない。


それがゴブリンの怒りの炎に油を注ぐ。

理性を保っていられないほどの怒りがゴブリンを異常なまでに強くする。


だが、あまりにも怒りすぎて転んでしまう。

その隙にまたアイツは逃げ出した。


殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す、殺す!


ゴブリンは走る。



追いかけ続け、またアイツは止まった。

今度は長いものを持っている。


今のゴブリンにそんなことは関係なかった。

ゴブリンは、ひたすらに突っ込んだ。


ゴブリンは勢いを落とさず突っ込んでいく。

人間は、そんなゴブリンに対して、横凪ぎの攻撃を仕掛けた。


だが、当たらない。タイミングがずれたのであろう。


今度こそ............ !


だが、そんなゴブリンの思いも虚しく、顔面から地面に突っ込んだ。


起き上がるゴブリン。

血管があるとすればすべて破裂しそうなほど怒っていた。


突っ込む。


ゴブリンの行動は、人間に痛みを与えた。


「うあぁぁぁぁぁ!」


人間が叫ぶ。


ゴブリンは快感を感じた。

自分があれほどまで怒った原因を痛め付けることができる。それほど嬉しいことはない。

さらにゴブリンの喜びは続く。


人間が、武器を捨てたのだ。


そうか、そうなんだな、とゴブリンは、確信する。こいつは敗けを認めたのだ。ゴブリンは、そいつに歩み寄る。


そして、なんの躊躇いもなく武器を振るった。





だが、その剣撃は、そいつには届かなかった。







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ゴブリンが攻撃してきた。分かりきっていたことだ。そして、ゴブリンの持つナイフは見ただけで軽いのということが分かる。それを武器として使うゴブリンの方が攻撃の速度が速いことは誰でも予想できるはずだ。


でも、何でだろう、


コイツの全てが遅い。


そして俺はいつの間にか手に何かを持っていた。何ら可笑しいところの無い大鎌だった。


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人間は、奇妙な形状の刃のものを握っていた。


ゴブリンは、その異様な形の武器に驚きつつも、人間に向かって走り出した。


そして、一振り。


それは、コイツの腹部に向けた攻撃で今のコイツでは到底避けれない攻撃。


ゴブリンが前に突き出す振るったナイフは、人間の腹部を切りつける。そして、人間はその痛みにもがき苦しむことになる、






はずだった。





その攻撃は空を切った。

ゴブリンは、理解できていなかった。

だが、コイツの行動は複雑なものではなかった。後ろに飛んで避けたのだ。


半歩後ろにジャンプ。

最低限の高さのジャンプ。

最低限の動き。


コイツはそれだけでゴブリンの攻撃を避けたのだ。疲弊しきっているのは間違いない。だが、コイツは、極限の集中力を使ってそれを成し得た。


ゴブリンは攻撃の勢いを足で殺す。


次だ、次の攻撃を。


そしてゴブリンは振り返る。



そこには何もなかった。

あの人間も、森の木々さえ存在しない、ただ真っ白の世界。


ゴブリンは困惑していた。

何処だここは?何故ここにいる?


ゴブリンは辺りを見渡して状況を確認しようと思ったその時、気付いた。


首が動かないことに。


何故?


ゴブリンは首を更に強く動かそうとするが、何をしようと動かない。


そう足掻く内に、自分の手を見つけた。

だが見えても少しだけだ。


手を動かそうとする。だが、手すらもまた、動かせない。


おかしい。


ゴブリンは謎の焦燥感を抱いた。


ゴブリンの鼓動が段々と速くなっていく。

吹き出した汗が何故か止まらず、汗をかいているはずなのに身体が冷たい。


ゴブリンは更にもがく。


そして気付いた。自分が何かで捕まえられていることに。



コツン コツン コツン


ふと、何かの音が聞こえた。

その音はゆっくりと、ゴブリンに近づいてくる。


それは、人間だった。だがソイツは、何故か顔が見えない。間違いなくソイツであるが、何故か顔が分からない。


ソイツはゴブリンの目の前に来ると、また歩みを進めた。


ゴブリンはソイツを目で追うと、ソイツがゴブリンの隣で止まったのが見えた。


ゴブリンはソイツを殺そうともがくが、当然のことながら動けない。だが、鼓動だけは速くなっていく。


すると、首もとに何かを感じた。


冷たい何か。でも、ゴブリンは知っている。


ソイツは何も言わない。淡々と何かをしている。



そして、ゴブリンは理解した。

理解してしまったのだ。この先の自分の未来を。


ゴブリンは叫ぶ。だが声は届かない。


そして、ソイツは...........フードの男は無慈悲に何かを構えた。


やめろ、やめてくれ、やめてください!


ゴブリンは喚くが、やはり届かない。


その男は音もなくソレを振り下ろし、ゴブリンが最後に見たのは............


そしてゴブリンは我に返った。


周りには木々が見える。土を踏みしめる感覚がある。


ゴブリンはそこで安堵した。

自分は死んでいないと。


ゴブリンは即座に切り替える。

また、コイツを殺すのだと。意気揚々と、振り返る。


と、その時、首もとに何かが引っ掛かった。ゴブリンの鼓動が速くなる。身体が、覚えている。


ゴブリンの体は動かない........動けない。

鼓動は速くなるばかり。本能はひたすらに警鐘を鳴らしていた。


音もなく、何かが近づいてくる。


視線を向ければ、そこには男がいた。

ただ自分に虚ろな目を向けた男が。


背後には、冷たい何かがある。


刻々と何かが削られていく。




ゴブリンの中で全てが繋がった。




男は何も言わない。先ほどまで息を切らしていたのに、何の音もしない。


ゴブリンはまだ動けない。動き出せない。






そして、全てが動き出す。






ゴブリンを拘束していた何かが無くなった。


ゴブリンは今だと言わんばかりに身体をひねり逃げ出そうとした。


だが、命を刈り取るその冷たい刃は、決して止まりはしなかった。


「gya─」

「終わりだ。」



そして、ゴブリンは舞った。

 





ゴブリンが最後に見たのは、フードに隠れた

あの男と同じ、虚ろな目をしたままゴブリン自分に見向きもしない、冷徹で残酷な男の顔だった。



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皆様、お久しぶりです。

はじめての方は、はじめまして。

ストーリーも、あとがきも、更新不定期な

時亜 迅です。

この名前の変換時間かかる。

つらい。

ちなみに、新しい方でもある。


ハルバートのことを理解してなくて、更新前は迅が持っていた武器をハルバートとしていましたが、本当は大鎌のことを書きたかったので、全てを大鎌に変更し、内容をがらりと変えました。


また、前回に引き続き分かりにくい表現があると思います。


そんなときは、コメントしてください。

こんな表現がいいよーなどなど。

是非是非気軽に。


さて、時間も遅いので終わりにしようと思います。

この作品を見てくださりありがとうございます。

良かったらフォローしていってください。

星や応援コメントを送ってもらえると、とても喜びます。

勢いで、迅くんも飛び出してしまうかもしれません。


三回目のあとがきを見てくださったあなたに運命を感じる..........ような気がしなくもなきにしもあらず


結局これってどっち?



            by 時亜 迅



誰か見てくれー!



          by 新 時亜 迅

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