第2話

「もう恭介とどう接したらいいか分からないの。ごめんね、なつちゃん。もう分からないの。」


 高校1年生の頃、当時付き合っていた彼氏のお母さんからの電話だった。電話ごしで泣いてるのが分かった。彼とは付き合って3ヶ月目あたりだったと思う。彼のお母さんは若くして彼を産んで、シングルマザーだった。お家に遊びに行かせてもらう内にみゆきさん、とお名前で呼ばせてもらうほど仲良くなり、普段から連絡もとっていた。でもこんな電話は初めて。学校からの帰り道、私はひとりだった。

「どうしたんですか?何かあったんですか?今恭介くんと一緒にいないんですけど、呼びましょうか。多分まだ委員会で、学校にいます!みゆきさん、今どこですか?私行きます!」

私は自分の声が大きくなってることに言い終わってから気づいた。焦ってた、落ち着こう。みゆきさん、どうしたんだろう。いつもにこにこ、どちらかといったらおっとり系のみゆきさん。

「ううん、大丈夫。ごめんね、私、いっぱいいっぱいになって思わずなつちゃんに電話かけちゃった。でも大丈夫、なつちゃんの声聞いたらなんかもう落ち着いたわ。ごめんね。」

「え、ほんとですか?私今日バイトもないのですぐ行けます!今お家ですか?」

「ううん、ごめんねほんとに大丈夫。もう大丈夫だから。あ、恭介には内緒にしてくれないかな」

「え?あ、それは全然大丈夫ですけど、ほんとに大丈夫ですか?」

「うん、ごめんね大丈夫。少し寝るわ。本当にごめんね、またうちに遊びにおいでね。」

みゆきさんはそう言って、電話が切れた。え、本当に大丈夫なのかな、何かあったんじゃ、、?恭介とどう接したらいいか分からないって言ってたよな。恭介がみゆきさんに何かひどい事言ったとか?でも恭介には内緒にしてって言われたし、、、んー。私はどうすることもできず、もやもやとしながらその日はまっすぐ家に帰った。

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