後編

 ついに、最終的な勝敗だ。

「第一回戦、勝者はシンデレラ。第二回戦、勝者はシンデレラ。第三回戦、引き分け。第四回戦、勝利は河村妃花。よって、この対決は、シンデレラの勝ちじゃ」

おっさん女神さん・・・・・考え直してくれませんか。絶対四回戦の文で私が勝ってたんだから、この対決は私の勝ちでよくない?

「それでは、王子様から最後の言葉じゃ」

「二人とも、面白い対決をありがとう。じゃあね」

なぜか、面白がっているようにも見える。でも、さすがに短すぎない?!その言葉マジ短すぎない?!悲しいよぉ?

そんな、謎に切なすぎる別れをしている時。

シンデレラはなぜか、フッと笑った。そして、私にキュートなウインクをした。

そして、王子様は目を細めて笑っていた。と、思うと私の方に向かって、封筒をこっちに投げた。王子様は、何かを言った気がした。

「だ、い、す、き、だ、よ」

私はそう聞こえた気がするんだけど違うかな。と、良いところで女神が杖を振った。


 恋する乙女、河村妃花は普段通り、家を出る。ちょっとお腹が重いけど。

「おはよう、姫花」

「あ、響輝君おはよう!」

私は、いつも通り彼と登校することにした。別に、何にも変わらない。いつも通りのやり取りで信号を手をつないで渡り、他の学年の子に白い目で見られるのだと思っていた。でも。


「あのさ、うちのポストになんか入ってた。読んでみたんだけどさ」

あれ、なんか心当たりあるんだけど・・・・・。

「一つは、振出例良しんでれいらって人からのやつ。シンデレラみたいで笑っちまった」

今も、響輝君はいつものカッコよくて、かわいい笑顔を浮かべていた。そう、私はこの笑顔も大好きだ。

「彼女のやつはひどくてさ、全く感情が伝わってこなかったよ。まず、何者かもわからないけどさ。小さいころにあった人らしいけど、字が汚いし、紙もクシャクシャだった。告白は『私はあなたの良いところを全部言い尽くしました。付き合ってください』って。こんな女子は嫌だよな」

その文章は紹介しなくていいよねぇ?


まず、シンデレラ・・・・・頭の中に何かが思い浮かんできたんだけど、気のせいかな?夢の中の出来事だったからか。シンデレラと王子様がいるお城でなんか対決したの。そういえば、神様のお告げを聞いた気がするんだけど・・・・・。え、私そんな夢見る人じゃなかったのに!でも、夢じゃないとあり得ないよね。


「でさ、もう一つの恋文が来て。その送り元の名前には『河村妃花』って書いてあった。そこから、なんかいろいろ書いてあったんだけど・・・・・あれって、妃花のなのかな?心当たりある?」

こ、恋文?つまりラブレター?!私は・・・・・なんかある気がするけど、私は首を振った。

「そうか、でも、あの字は妃花のだった。めっちゃ字キレイだったけど。そんで、言ってることもみんな妃花のこと。だって、俺は妃花ほど俺を分かる人物はいないと思ってるからな」

カアッ・・・・・

顔が赤くなっていくんだけど・・・・・。

「顔が赤くなってるってことは、妃花のでしょう。なあ、答えてくれよ。これ、妃花が書いてくれたのか?それに答えてくれたら、俺も気持ちに応えようと思うけど」

それって、もしかして、そうだ!!・・・・・行ける、行けるよ、これ!!


「そう!!これ、実は私が書いたんだよ!!書いてあるから分かると思うけど・・・・・響輝君、私は響輝君が大好きなの!お願い、愛を私に注いでくれない?」


私は、思い切って告ると、彼はフフッと笑った。やっぱり、どことなく王子様に似ている。

「ありがとう、妃花。俺が持ってる愛、全部妃花にあげる」

キュン!やった!

「響輝く~ん!!!!」

そうだ、これがイエス様が私にくれたものなんだ。イエス様は、私の気持ちに応えてくれたんだ。

他の人からは白い目で見られるけど、そんなもん関係ない。響輝君の手は少し汚れてるけど、とても温かい。。私たちは、一緒に手をつないで学校への道をたどった。


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VSシンデレラ DITinoue(上楽竜文) @ditinoue555

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