「夜空」「プレステ」「家の中の流れ」

佐々木 煤

プレステに願いを

 昔の人は星降る夜空に向かって願い事を三回言うと叶うと信じていたらしい。24世紀の現代に生きる僕からしてみると呑気な話だと思う。エアコンから吹き出る酸素から家の中の流れを整えつつ、ポテトサラダを食べる。

 22世紀、人は地球を三分の一失った。半分の人口が失われ、さらに半分の人口は食料、土地、権威的な問題からして宇宙での生活を余儀なくされた。僕の祖先も宇宙に飛び出た側の人類だった。2世紀ほど地球には帰っていないことになるが、なんら寂しくはない。ただ地球にいなきゃ見れなかったものもあるだろう。例えば「プレーステーション」。今やプレステ20が登場して、本体は視認グラスのみとなっているが昔は相当でかかったらしい。レトロゲー愛好家としては実物を手にとって、コントローラーを握ってみたかった。

 丸窓からは地球が見える。2世紀前、隕石によって三分の一を失った地球に今日再び隕石が降り注ぐ。こんな星降る夜空でも三回プレステと言ったら、目の前にプレステが出て来てくれるのだろうか。

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「夜空」「プレステ」「家の中の流れ」 佐々木 煤 @sususasa15

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