第5話 猟犬たち

 《現場まであと二分です》

 パイロットの声にアランは閉じていた瞼を開けた。窓からはデトロイトの都市が夜の闇の中、眩い人工的な光を放っている。

 周りを見れば、己が自ら鍛えてきた部下達が静かにその時を待っていた。その中には今回が初任務の新隊員も配備されている。

「諸君」

 アランが声を上げると、全員が一斉に彼を見つめた。

「我々に政治は関係ない。我々が追うのは、市民を脅かす犯罪だけだ。犯罪には、それ以上の恐怖を以て立ち向かわなければならない」

 かつて叩き込まれた言葉を、今度は自らが叩き込む側になるとは。皮肉なものだ。

「俺達は、警察官の身分だが、警察官ではない」

 犯罪という闇に牙を突き立てる、猟犬なのだ。

    



      ハードデイズナイト  【了】

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ハードデイズナイト 片栗粉 @gomashio

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