第9話 お喋り



「師匠!戻りました!」


ここは黒の森、ノアくん、レアちゃんの師匠である魔女ドロシーの家。


「鍵は見つかったのか?」


そう言いながら、ドロシーが奥の部屋から顔を出した。

どう見ても30歳くらいにしか見えないが、実年齢は200歳近いらしい。

都内を歩いていても違和感はないし、スカウトされるレベルだと思う。


「本当にこれが鍵なんですか?」


詩織が肩に乗っていたツバメを指さす。


「これ言うな!!!」


ツバメは怒っていたが、詩織のことは叩かなかった。

女性は叩かない紳士なツバメなのか?


「そいつが鍵だ、間違いない。

次の試練の場所を教えてくれるのさ。

なあ?ツバメ?」


ドロシーの言葉にツバメは得意げに答える。


「次の試練の場所教えたるわ!」




「次の試練の場所は、鏡の谷言うねん。

名前の通り鏡ばっかりの谷でな、進むのごっつ大変やから気ぃつけてな!

それ以上はこのツバメの口からは言えませんなあ!」


ツバメが大笑いしているが、何が面白いのか僕にはわからなかった。


「で?人間嫌いで有名なドロシー様が何で人間の手伝いしとんの?」


ツバメの声は急にワントーン低くなった。


「詩織はアタシの孫さ。

婆さんってのは孫が可愛いもんなんだよ。」


ドロシーがニヤリと笑いながら言った。


「孫!!??

ほな、この子も魔女なんか?

ただの人間にしか見えへんけど?

魔力もほとんどないやろ?」


ツバメは右の翼を嘴の下に当て、考え込むポーズをしていた。

鳥類でも考える時はこのポーズをするんだと感動した。


「実は、、、10年前に急に魔法が使えるようになったんです。

一回だけなんですけど、、、。」


詩織がツバメに僕と詩織の過去を話し始める。

それは僕も初めて聞くことばかりだった。






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