【 キャッツアイ 】
高級なレストランでの2か月ぶりの夫との食事。
「やっぱり、俺には美雪しかいない。俺ともう一度、やり直さないか」
そう言って、キラキラと光り輝く、とても奇麗なトルマリンキャッツアイの指輪をプレゼントしてくれる。
「ありがとう……」
その指輪を彼が、私の左手の薬指にやさしくそっとはめてくれた。
指輪を着け終わると、彼が不思議そうに私に聞く。
「でも、どうして、トルマリンの指輪なんだい?」
私は口角を上げてニヤリと笑う。
「さあ、どうしてでしょう。何か希少なこのキャッツアイのトルマリンが欲しくなっちゃって」
このレストランの淡い光の中でも、綺麗な猫の目のように、キラリと光り輝く美しいトルマリンに心奪われる。
彼が浮気をする度に、それを許す条件として宝石をねだっていた。
もう、このトルマリンで5個目。
その前は、ピジョンブラッドのルビー。
そして、その前は、ハリー・ウィンストンのダイヤモンド。
でも、彼はまだ気付いていない。
私が要求する宝石の意味を……。
トルマリンは、10月の誕生石。
ルビーは7月。そして、ダイヤモンドは4月。
そう、私は彼が浮気をした時を決して忘れはしない……。
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