【 光輝さん 】


 7階の最上階は、各階の3つの部屋を1つにまとめたような広さがあり、とても豪華で見晴らしもいい。

 夜になるとベッドルームにある大きなガラス張りの窓から見える夜景は、とても煌びやかで美しい。


 付き合っている当初、休日になると、彼の部屋へ呼ばれ、玄関を入るとすぐに彼が強引にキスをし、そのまま寝室まで激しく抱き合いながら進み、あの大きなベッドの上に押し倒され、彼に抱かれた。

 そんな激しい恋愛をしていたのに……。


 結婚して、わずか3年のうちに、5度も浮気をされた。

 彼のルックスや経済力、社会的地位から、彼が女性にモテないとは思っていなかったが、さすがに5度目の浮気には正直へこんだ。


 最初のうちは魔が差したと言い訳を言っていた夫だったが、さすがに5回も続くと、それはもはや魔が差したのではなく、『』と呼ぶべきものなんだろう。


 それが昨年の10月。

 私は悲しくて、別居を夫に提案した。

 すると夫は、空いていたこのマンションの4階の部屋を借りて私を住まわせた。


「どうして、同じマンションに住まなきゃいけないの!?」


「別居していることを会社の従業員に知られたくない。同じマンションなら、住所も同じだし疑われないだろう」


「世間体を気にしているの!?」


「まあ、そんなところだ……。お前も家賃とか払うの大変だろう。お互い頭を冷やすにはその方がいい……」


 それが、夫と別居して、このマンションの4階に住むようになった経緯。

 会社勤めをやめて専業主婦をしていた私にとって、それは苦渋の選択だった。



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