第12話

「マヤ、暇ならこれをしてみないか」

 ある日の休日、退屈そうにソファで寝転がっている舞弥にヴィクトリカは箱から取り出した魔法具を片手に提案した。

「それは?」

「これは庶民達が仲間内などでよく使うらしい魔法具で、くじで当たりを引いた人がそれ以外の参加者に命令をして、命令された人は必ずそれを実行しなければいけないという遊びに使われる。通称『王様ゲーム』。本当は5から10人程度で遊ぶらしいが、まあ、二人でも楽しめるだろう」

 ヴィクトリカの説明に舞弥はソファから転げ落ちる。

 慌ててヴィクトリカが駆けつけるが少し体を打った程度で怪我などはしていない。

「大丈夫か? 回復魔法は必要か?」

「大丈夫、大丈夫。これくらいの高さから落ちたくらいで怪我なんてしないよ。それにしても、こっちの世界にも王様ゲームがあるなんて驚きだよ。見ての通りソファから転げ落ちるくらいね」

「怪我をしていないのならそれでいい。綺麗な体に傷一つでもできれば心苦しいからな。それにしても、マヤの世界にも同じような遊びがあるのだな。なんというか、世界が違っても人々の考えることに大きな違いはないのだな」

 そうだねと舞弥は頷く。

 並んでソファに座り向き合う。

「マヤは王様ゲームをしたことがあるか?」

「修学旅行の時に同室の子と一度だけしたことがあるよ。ヴィクトリカは?」

「残念ながら私はしたことがない。ただ、すごく盛り上がる遊びだと聞いている」

 ヴィクトリカは少し寂しそうな表情をするが、それも一瞬で、すぐに表情を切り替える。

「一度した頃があるのなら詳しいルール説明は必要なさそうだな。別に普通にくじを引いてどちらかが王様で命令していくでもいいが、今回は二人しかいないので少しルールを変えようと思う」

「まずくじは五つ用意する。一つは王様で、残りは1から4の数字が書かれている。二人でくじを引いて王様が出なければやり直し。王様を引けば普通の王様ゲームのように「何番が〇〇をする」や「何番と何番が〇〇をする」といった一般的な王様ゲームの命令をする。その時、王様でない方の番号が当てはまらない場合は命令は無効として次のゲームへと移行するというものでどうだろう? 問題なければこのまま始めようと思うのだが」

「王様ゲームをするとは言ってないけどまあいいか。うん、それでいいよ」

「では、さっそく」

 ヴィクトリカが『王様ゲーム』を起動する。

 本体の設定を変えると最初は2本しか出ていなかった棒が5本に増える。

 舞弥とヴィクトリカはそれぞれ1本ずつ棒を取り出し、確認する。

「「王様だ〜れだ」」

「私」

 ヴィクトリカが棒を掲げ宣言する。

「そうだな、最初は軽めに、3番が三回廻ってワンと鳴く」

 舞弥は持っている棒を出す。その棒には4の数字が書かれていた。

「残念だ。まあいい、次行こうか」

「「王様だ〜れだ」」

「あ、私だ」

「残念」

「それじゃあ、2番が腕立て伏せ10回」

「お、当たった」

 ヴィクトリカが出した棒には確かに2の数字が書かれていた。

 ソファから降り腕立てを始める。元王女のわりに慣れているのか軽やかに終わらせる。

「「王様だ〜れだ」」

 三度目のゲームは双方王様を引くことができず流れる。

 四度目のゲームはヴィクトリカが王様を引き当てた。

「少し過激なものも入れていこうかな。2番が私にキス」

「えっ」

 ヴィクトリカの命令に舞弥は驚きの声をあげる。

 その手からぽろりと棒がこぼれ落ち、2という数字が見えた。

「当たりみたいだね。それじゃあ、キスしてもらおうかな。勿論、唇に」

 顔を真っ赤にした舞弥がゆっくりとヴィクトリカに自身のその顔を近づける。

 二人の唇がそっと触れ、離れる。

「えーそれだけ? まあいいけど。でも、もう何度もしてるのだからそろそろ慣れてほしいな」

「そうなんだけどさ…… やっぱりまだ恥ずかしいよ」

「まあ、今のマヤも可愛いけどいつか情熱的なやつをしてね」

「……うん」

 消えそうな声で舞弥がつぶやいた。

「よーし、言質とったところで次に行こうか」

 五度目のゲームもヴィクトリカが王様。

「次はそうだな、1番は服を脱いでくれ、全部」

「全部!?」

「あ、当たった? それじゃあ脱いでくれ。王様の命令は絶対だから」

「いや、流石にそれは。一枚だけで許してくれなあがっ」

 王であるヴィクトリカの命令に逆らおうとした舞弥に衝撃が襲う。

 衝撃で舞弥が倒れ込む。

「な、どうして」

「あれ、言ってなかったかな? この魔法具は命令違反をしたら今みたいに衝撃がある」

「聞いてないよぉ」

「ま、今言ったから。さっ、はやく脱いで」

 一枚一枚ゆっくりと服を脱いでいく。

 リボン、シャツ、スカート、下着……

 少しずつ姿を現す肌色が美しく、妖艶で、ヴィクトリカを興奮させる。

 その後もゲームを重ねていくと結果に偏りが出てきた。

 王様になる回数は舞弥とヴィクトリカに差はないが、命令を成功させる割合が違う。

 舞弥は4回に一度成功しているかどうかという割合だが、ヴィクトリカは最初の一回を外しただけで残りは全て成功している。

「もう暗くなったから次で最後にしようか」

「「王様だ〜れだ」」

「私だ」

 ヴィクトリカは自身の結果を見てニヤリを笑う。

 対照的に舞弥はこの世の終わりのような表情をした。

「最後だし、今までで一番過激なものにしようかな。そうだな、1番が私の目の前で自慰」

 ヴィクトリカの命令に抵抗しながらも手を下腹部に伸ばした。

「マヤ、暇ならこれをしてみないか」

 ある日の休日、退屈そうにソファで寝転がっている舞弥にヴィクトリカは箱から取り出した魔法具を片手に提案した。

「それは?」

「これは庶民達が仲間内などでよく使うらしい魔法具で、くじで当たりを引いた人がそれ以外の参加者に命令をして、命令された人は必ずそれを実行しなければいけないという遊びに使われる。通称『王様ゲーム』。本当は5から10人程度で遊ぶらしいが、まあ、二人でも楽しめるだろう」

 ヴィクトリカの説明に舞弥はソファから転げ落ちる。

 慌ててヴィクトリカが駆けつけるが少し体を打った程度で怪我などはしていない。

「大丈夫か? 回復魔法は必要か?」

「大丈夫、大丈夫。これくらいの高さから落ちたくらいで怪我なんてしないよ。それにしても、こっちの世界にも王様ゲームがあるなんて驚きだよ。見ての通りソファから転げ落ちるくらいね」

「怪我をしていないのならそれでいい。綺麗な体に傷一つでもできれば心苦しいからな。それにしても、マヤの世界にも同じような遊びがあるのだな。なんというか、世界が違っても人々の考えることに大きな違いはないのだな」

 そうだねと舞弥は頷く。

 並んでソファに座り向き合う。

「マヤは王様ゲームをしたことがあるか?」

「修学旅行の時に同室の子と一度だけしたことがあるよ。ヴィクトリカは?」

「残念ながら私はしたことがない。ただ、すごく盛り上がる遊びだと聞いている」

 ヴィクトリカは少し寂しそうな表情をするが、それも一瞬で、すぐに表情を切り替える。

「一度した頃があるのなら詳しいルール説明は必要なさそうだな。別に普通にくじを引いてどちらかが王様で命令していくでもいいが、今回は二人しかいないので少しルールを変えようと思う」

「まずくじは五つ用意する。一つは王様で、残りは1から4の数字が書かれている。二人でくじを引いて王様が出なければやり直し。王様を引けば普通の王様ゲームのように「何番が〇〇をする」や「何番と何番が〇〇をする」といった一般的な王様ゲームの命令をする。その時、王様でない方の番号が当てはまらない場合は命令は無効として次のゲームへと移行するというものでどうだろう? 問題なければこのまま始めようと思うのだが」

「王様ゲームをするとは言ってないけどまあいいか。うん、それでいいよ」

「では、さっそく」

 ヴィクトリカが『王様ゲーム』を起動する。

 本体の設定を変えると最初は2本しか出ていなかった棒が5本に増える。

 舞弥とヴィクトリカはそれぞれ1本ずつ棒を取り出し、確認する。

「「王様だ〜れだ」」

「私」

 ヴィクトリカが棒を掲げ宣言する。

「そうだな、最初は軽めに、3番が三回廻ってワンと鳴く」

 舞弥は持っている棒を出す。その棒には4の数字が書かれていた。

「残念だ。まあいい、次行こうか」

「「王様だ〜れだ」」

「あ、私だ」

「残念」

「それじゃあ、2番が腕立て伏せ10回」

「お、当たった」

 ヴィクトリカが出した棒には確かに2の数字が書かれていた。

 ソファから降り腕立てを始める。元王女のわりに慣れているのか軽やかに終わらせる。

「「王様だ〜れだ」」

 三度目のゲームは双方王様を引くことができず流れる。

 四度目のゲームはヴィクトリカが王様を引き当てた。

「少し過激なものも入れていこうかな。2番が私にキス」

「えっ」

 ヴィクトリカの命令に舞弥は驚きの声をあげる。

 その手からぽろりと棒がこぼれ落ち、2という数字が見えた。

「当たりみたいだね。それじゃあ、キスしてもらおうかな。勿論、唇に」

 顔を真っ赤にした舞弥がゆっくりとヴィクトリカに自身のその顔を近づける。

 二人の唇がそっと触れ、離れる。

「えーそれだけ? まあいいけど。でも、もう何度もしてるのだからそろそろ慣れてほしいな」

「そうなんだけどさ…… やっぱりまだ恥ずかしいよ」

「まあ、今のマヤも可愛いけどいつか情熱的なやつをしてね」

「……うん」

 消えそうな声で舞弥がつぶやいた。

「よーし、言質とったところで次に行こうか」

 五度目のゲームもヴィクトリカが王様。

「次はそうだな、1番は服を脱いでくれ、全部」

「全部!?」

「あ、当たった? それじゃあ脱いでくれ。王様の命令は絶対だから」

「いや、流石にそれは。一枚だけで許してくれなあがっ」

 王であるヴィクトリカの命令に逆らおうとした舞弥に衝撃が襲う。

 衝撃で舞弥が倒れ込む。

「な、どうして」

「あれ、言ってなかったかな? この魔法具は命令違反をしたら今みたいに衝撃がある」

「聞いてないよぉ」

「ま、今言ったから。さっ、はやく脱いで」

 一枚一枚ゆっくりと服を脱いでいく。

 リボン、シャツ、スカート、下着……

 少しずつ姿を現す肌色が美しく、妖艶で、ヴィクトリカを興奮させる。

 その後もゲームを重ねていくと結果に偏りが出てきた。

 王様になる回数は舞弥とヴィクトリカに差はないが、命令を成功させる割合が違う。

 舞弥は4回に一度成功しているかどうかという割合だが、ヴィクトリカは最初の一回を外しただけで残りは全て成功している。

「もう暗くなったから次で最後にしようか」

「「王様だ〜れだ」」

「私だ」

 ヴィクトリカは自身の結果を見てニヤリを笑う。

 対照的に舞弥はこの世の終わりのような表情をした。

「最後だし、今までで一番過激なものにしようかな。そうだな、1番が私の目の前で自慰」

 ヴィクトリカの命令に抵抗しながらも手を下腹部に伸ばした。

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