第14話 さきいかとチーズ鱈

 「買って来たよ~。」

 「あ~、ありがとう~。」

 育子はかなり、酔っぱらっていた。

 「つまみみたいのも売ってたけど、買ってこようか?」

 「あ~、おねが~い。」

 育子はもうすでに夢の中に居た。


 拓斗はさきいかとチーズたらを買ってきた。

 「ありがと~。」

 「懐石料理って、滅多に食べられないものばかりでできていて高級だけど、カロリー少なそうだし、なんかお腹すくよね。」

 育子はさきいかをモシャモシャとむさぼり始めた。

 「う~ん、なんか口寂くちざみしくなっちゃってね。さきいか好きなのよね~。」

 「俺もさきいか、好きだよ。」

 拓斗もさきいかを食べ始めた。


 「ちょっと、水飲んでみる?」

 いつもの状態ではなくなってきた育子を心配した拓斗は、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、コップに注いだ。

 育子は口角が上がっていて、とても幸せな心境で、すでに別世界に居た。

 「いつもとは違う場所だから、いくちゃんは夢を見ているのかな?」


 育子が完全に酔っぱらってしまったので、拓斗は育子を介抱かいほうした。

 布団までお姫様抱っこをして運び、寝かせた。

 「次は、海外旅行に行こうね。」

 育子のひたいにキスをすると、拓斗は残りのビールを飲み始めた。

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