私が重すぎ?軽い方だと思いますが、そう仰るなら婚約破棄を受け入れます。 それなのに、あなたはなぜ私に付きまとうのですか?

西東友一

第1話

「お前、重すぎんだよ」


 同じベッドで愛し合った私ジャンヌと婚約者のジェダイン。

 愛し終わった後、何となくたわいもない話をしていて、将来の話になったので、子どもが何人欲しいとか、どんな子になったらいいかな? とか、家はどんなところに建てたいとかそんな話をしていたら、ジェダインが徐々にテンションが下がっていき、そうつぶやいた。


「えー、そうかな? 大事なことだと思うのだけれど」

「寝るわ。おやすみ」

 そう言って、ジェダインは私に背を向けて寝てしまいました。彼が機嫌が悪そうなので、私も仕方なく寝ることにしました。



 

―――次の日。


「婚約破棄したい」


 ジェダインは唐突にそう宣言しました。

 私は思わず朝食で作った目玉焼きを再びお皿に落としてしまいました。


「なぜよ? 昨日のことなら・・・」

「お前といる将来ってつまんなそーだから。だから、出てって」

 私が作った朝ごはんを食べながら、当然なことを言ったと言う顔をしているジェダイン。

「わかりました。お世話になりました」

 私は悔しかったけれど、そのまま家を出ました。




「「はっ?」」

 私は女友達のシェリーと男友達のメイソンに婚約破棄の旨を伝えました。二人は私の親友で婚約のことも二人と両親にしか話していなかった。

「ごめんなさいね。だから、結婚式の話はナシだから」

「いやいや、頭を下げないでよジャンヌ」

 私がお詫びをすると、シェリーが慌てて止めに入って、「大変だったわね」と言いながら、私の背中を撫でてくれた。

「許せないな・・・」

 メイソンは目尻を釣り上げてとても怒ってくれた。

「ありがと、メイソン」

 彼があまりにも怒ってくれたおかげで、私の怒りはどっかに行ってしまった。

「でも、良かったじゃないメイソン」

 ん? 急にシェリーが変なことを言い出した。もしかして、親友だと思っていた二人は私の不幸を笑おうとしてた? それとも、私とジェダインがすぐに別れるかどうかで賭けでもしていた?

 私は雲行きが怪しくて不安になっていると、それに気づいたシェリーが私の肩を叩きながら笑顔で、

「違う違う。メイソンって実はあんたのことが・・・・・・おっとっと」

 何かを言おうとしたけれど、メイソンに言われて口をつぐんだ。

「えっ、何よ。教えて?」

 私はシェリーとメイソンの顔を交互に見ると、シェリーが

「メイソンっ。いいの? あんなに酔いつぶれるまで永遠と私に言っていた言葉は嘘だったの?」

 とお姉さんっぽくメイソンに話すけれど、メイソンは真顔で何も言わなかった。

「ねぇ、シェリー教えてよ」

 私は喋ってくれそうなシェリーの肩を揺らしながら尋ねる。

「ごめんなさいね、ジャンヌ。こればっかりは私の口からは言えない」

 ジェダインとの婚約破棄の件は気持ちが収まったけれど、新たなモヤモヤが見つかった。


 

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