第2話
私は家に残ることを決めました。
けれど、それはいばらの道でした。
お義母様とお義姉様と義妹は、今まで仕えてきた使用人を全員解雇し、新たな使用人たちと一緒に私のお母様とお父様の思い出が詰まった物を奪ったり、壊したり、捨てようとしました。私は止めようとしましたが、三人は暴力を振るって、無力な私は止めることができませんでした。
三人が寝静まった夜、捨てられた物や見つかっていない物を集めて、私は秘密の地下室へ急いで隠しました。思い出が詰まった秘密の地下室。そこは私がこの世界で唯一心の底から幸せを感じられる部屋となってしまいました。その部屋にずっといたい。でも、何度も入っていれば、バレてしまうかもしれない。最初はとても辛い日はここへ来ようと思っていましたが、辛い日であっても、三人の目が光っている日があったりして、なかなか行くことはできませんでした。ただ、三人はよくパーティーに行っていて、そういった日は使用人ではなく、私に雑用を押し付けていくのですが、使用人の中には私に同情してくれる人もいて、一緒に掃除などを行い、その後私は秘密の地下室に入って、心を癒しつつ、いつの日かのためにとお父様たちが残してくれた本を使って独学で勉強をしました。
家の中は自分の家だけれど、どんどん私の家ではなくなっていきました。大切な物が無くなり、散財するお義姉様たちはどんどんお父様のお金を使って家具や絵画や骨とう品を買っていきました。
三人は自分たちの身の回りを整えて満足した頃から、私をイジメるようになりました。
お義母様は男性にモテるようで、そちらに夢中であまり私のことに感心はありませんでしたが、男性が屋敷に来るときは私を閉じ込めました。なので、私をイジメるのは特にお義姉様と義妹で、ことあることにイジメてきました。二人はお義母様の言いつけを守り、私に痣や傷などができるようなことはしませんでしたが、人の尊厳を傷つけるようなことを平気でしてきました。あまりにひどいことなので・・・・・・口にも出したくはありません。
特に姉が結婚できる十六歳になってから、パーティーで良い相手を見つけようとしていたようなのですが、いい男がいたにも関わらず、駄目だった日は、深夜であっても私を起こしにきてしごきのようなイジメで鬱憤を晴らすようになりました。その日は当然癒しの秘密の地下室にも行けず、その上次の日の日中の用事も言いつけられて辛かったです。
私の一縷の望み。
それは、私を手に入れようとしている方の存在だけでした。
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