第17話 初恋相手と初夜の時間はドキドキがいっぱい!?


 ――ガチャ。


 覗き穴の先にいる人物が怪しい人物でないことを確認して扉を開ける。


「は~い、お待たせしました~」


「「お待たせ~♪」」


 ただのお泊りのはずなのに、いつもとは違う二人に思わず息を呑み込んでしまった。

 学校の制服姿からは想像できないぐらいに大人びて綺麗な二人に驚いた。

 一言で表現するなら、色気があって美人な詩織、大人びて綺麗な理沙。

 二人が家に来ることは時折ある。

 だから慣れていた。はずなのに、今日は違った。

 雰囲気がいつもと全然違うのだ。


「あっ、どうぞご遠慮なく」


 返事をして二人がリビングへと入っていく。


「相変わらず片付けてて偉いじゃん」


「まぁな。いつ母さん帰ってくるかわかんないから、リビングだけは綺麗にしてる」


「なるほど。確かにお母さんそこら辺厳しい人だったもんね」


「ってことは相変わらず部屋は散らかっていると?」


「……察してくれ」


 詩織は昔からの付き合いで小さい頃からよく新上家に遊びに来ていた。

 そのたびに、新上の部屋を綺麗に掃除してくれたりと面倒をよく見てもらっていた。

 母親は職柄なのか家にいる時はずっといるし、何処かに行くとしばらく帰ってこなかったりと不定期にいたりいなかったりする。父親は商社に勤めていたが、今は母親のアシスタントをしている。母親が優斗なら一人でも大丈夫だろうし、姉は将来の為に一人暮らしをさせた方が良いと判断して今の生活環境となっている。ただし、新上の場合はまだ少し不安があるのか、今年から仲の良い母友――詩織の母親に頼み、たまに大丈夫かを見てくれと頼んだらしい。そこで詩織の母親から詩織を定期的に派遣するからと直接言われた。どうやらカップ麺生活をしてないかが不安らしい。本当に失礼な話しだが、息子を疑いすぎだと思う。事実しようとしていた矢先、監視の目ができたので中止をしたことは本人だけの秘密である。

 また家にゴミが散乱していると、詩織から母親に報告がいき怒られるので定期的にリビングだけは綺麗にしている。それでも汚れている時は、日頃からしていると言う頑張りが認められ詩織が掃除を手伝ってくれたりする。姉は自室に引き籠ることが多く、リビング担当は気付いた時には新上優斗と小学校の頃から暗黙のルールで決まっていた。そんな姉も今ではいないので先月から全部の担当となってしまったのだが。


「ってことはえっちな本も隠してあるの?」


「そんなものはない」


「『お姉ちゃんとの秘密の関係』みたいなの一冊ぐらいありそうだけど?」


「――やめろ」


 新上は真顔で説いた。

 理沙の冗談だとはわかっていても、その類はNG。


 幾ら思春期真っ只中とは言え、姉は恋愛対象にならない。

 それが義理とか義理じゃないとか関係なくだ。


「とりあえず二人とも立ち話もアレだし座ってくれ。荷物は邪魔にならない場所に適当に置いていいから」


 新上はソファーでも良かったが、なんとなく通称『人をダメにするクッション』が近くにあったのでそっちに腰を下ろす。

 大きなクッションは新上の身体に合わせて形を変えてくれる。

 天才の発明と言える代物の座り心地は最早語るとも体験して自ら感じて欲しいと言える。

 そんなクッションを見て「あっ! それ!」と声をあげる理沙。


「え~い♪」


 全身の力を抜いた新上に向かって理沙が近づき、飛び込んでくる。


「わぁお~、これCMで見たやつだ!」


「ちょ!? 理沙?」


 流石にこれはマズイ。

 脳がそう判断した。


「おぉ~、すごい!」


 慌てて立ち上がって回避に成功した。

 しかし、足が縺れてそのまま頭からもう一つの大きなクッションにダイブしてしまう。

 今までずっと興味があった。

 でも触れたことがないソレはいい匂いがして程よい弾力をもっていた。

 とても柔らかいソレはまさに最高!

 叶うなら二つのクッションの間に顔をずっと挟んでいたい。

 一瞬で新上の脳をとろけさせてしまう極上の谷間を体験できて幸せを感じる。


「えっ!? ちょっと!?」


 急に飛び込んできた新上の後頭部をしっかりと胸でキャッチし保護した詩織はそのまま身体を支えて受け止めてくれる。

 幸い理沙は大きなクッションを奪う事に成功し嬉しいのか顔をうずめて足をバタバタとさせている。スカートがそのたびにひらひらと動き、いい具合に太ももが見え隠れする。新上としては絶好のタイミングを逃してしまうも、一つでも嬉しいのがラッキーハプニングというものである。

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