エクスマキナ・クライシス

中国編

第16話 上海攻略／初陣

　「ほら、もう少しだ」

　「うん」

　荒れきった上海の街に二人の親子がいた。どうやら父親と幼い男の子のようで建物の残骸から外を眺めている。目の前の大通りを超えて向こう側の建物に行こうとしているのだ。向こう側には、母親のような女性が見られた。しかし、その間には黒いボディをしたロボットがいて二人は、息を潜めるようにし奴らが行くのをじっと待つ。我が息子の震える体を父親が抱きしめる。

　外を見渡すと奴らは、いなくなっていた。道路の向こう側まで見渡しても姿が見えない。安全を確認すると、二人は立ち上がり父親は息子の手を握る。

　「しっかり捕まってるんだぞ」

　「うん」

　意を決して、二人は外に駆け出した。2車線大通りのだけあって渡るのに少々時間がかかってしまう。ちょうど半分を過ぎた頃、

　バシャ

　鮮血が男の子に飛び散った。見てみると、父親の首から上がなくなっていたのだ。

亡骸は身体だけばたりと倒れこみ、男の子はショックで腰を抜かしへたり込んでしまった。父の亡骸の先には、黒色のロボットであるSN-1（レイヴン）が見えた。SN-1（レイヴン）は、AG5を片手に男の子に迫る。そこへ割って入るような形で母親が物陰から飛び出し息子を庇うように抱き寄せる。目には、涙と覚悟が滲み出ていた。

　SN-1（レイヴン）は、母親の方に視線を移すと同時に銃口を向ける。もう助からないと思われたその時だった、

　バシュン

　何かが焼けこげるような音がしたのだ。目を開くと、眼前には斜めに切断されたレイヴンの半身がずり落ちていた。後ろからは青白いパワードスーツにに身を包んだ”人”がいた。母親は警戒してキッと睨みつける。

　「隠れていて下さい」

　中国語でそれだけ言うと、直ぐに飛んで行ってしまった。何が起こったのか分からなかった。だが、命だけは助かったのは事実だろう。母親は涙を流しながら息子を抱きかかえると、建物の陰に隠れ自らの目的地へ足を動かした。彼女の口からはただ”ありがとう"と言う言葉が溢れるのだった。

「あれでいいんだよな？」

「奇襲の仕方は今ので問題ありません」

「あの親子は大丈夫かな」

「分かりません。無事を祈りましょう」

　...空が暗いな...　

　目の前の景色から不気味さを感じた。天気は曇りだが立ち込める黒い煙が雲に交じり、グレーな世界を作りだしている。

　上海の街並みに盛んな風情は一切なく、原形をとどめていない程に破壊つくされ、所々小規模火災が見える。真ん中から折れたビルが、横のビルに寄りかかるようにして崩れているのが印象深い。

...こんな異世界には来たくなかったな～...

　『放射線汚染度は許容範囲内、行動可能です』

　地上に降り立つと、辺りを捜索する。とても静かで身構えてはいたが、それがより一層強固にさせつつあることに隼人は気付いていなかった。

　チクッ

　首に何か針で刺されたような痛みが走った。

　『緩和剤を打ちました。これで少しは楽になるかと』

　「ありがとう」

　ビービービー

突然脳内に警告音（アラート）が鳴り響いた。

　「！？」

　瞬間、建物の間からSD-1A（チェイサー）が出現した。ミサイルのような形鋭角的なフォルムで隼人めがけて接近してくる。胴体のカバーがと開くと両側から機銃が出て来るとすぐに撃ってきた。

　隼人は、空中に飛び上がって突っ込んできたSD-1A（チェイサー）を回避する。

...はや!...

SD-1A（チェイサー）は反転して今度は上方から再度隼人に接近した。

ヴァリアブルライフルをですぐに応戦すると、数発命中した後に大爆発した。

『警告、複数のIAが接近中、数8、チェイサーです。ミサイルポッド使用すれば複数の敵をマルチロックオンできます』

　前方からSD-1A（チェイサー）がこっちに向かってきた。隼人は、8体をマルチロックオンするとミサイルは、全弾命中した。

　『隼人、動いてください。留まっては危険です』

　「わかった」

　『索敵スキャンで敵の位置が把握出来ますのでそれもご活用ください』

　隼人は、方角を上海の拠点に向けて移動を始めた。スーツ機能の一つである索敵スキャンを行い周囲を警戒する。

　『SN-1（レイヴン）が接近中です。数3、ビームの使用を推奨します』

　隼人はモードをビームに切り替えリロードした。

　前方から3体のSN-1（レイヴン）が見えた。手には、AG5が握られていた。

　「くっ」

　隼人は、一定の距離を保ちながら銃撃戦を始めた。

　3体は編隊を崩さず、回避しながら隼人に接近する。

　前の3体は編隊飛行していることもあって、集中火力で押し切られてしまいそうになる。初めての戦闘だけあって、まだ情報処理が追い付いていない。

　「くそ！」

　2体は単調な攻撃であるが故に動けば、当たらないが一体だけ練度が高いのがいる。しかも盾持ちだ。現在隼人はそいつに何発も食らっているのだがダメージ受けている気がしない。

　隼人はSN-1（レイヴン）の軌道を予測し、ビームをフルオートで発射。2体は撃破したが、残り1体は盾を捨て実を片手に高周波ブレードで接近戦を仕掛けた。

『ネクシス1、この間合いならは近接戦が有利です。光粒子剣（フォトンソード）を』

隼人はヴァリアブルライフルをラックに固定し左腕から光粒子剣（フォトンソード）抜き取る。

「はぁ！」

　加速をつけて横薙ぎに切り抜いた。

SN-1（レイヴン）は高周波ブレードごと真っ二つに切断された。

『光粒子剣（フォトンソード）は脱着した状態でも使用できます。ただし一定時間を過ぎると、出力が低下するので注意してください。基本的には固定した状態での使用を推奨します』

　「了解」

　隼人は、光粒子剣（フォトンソード）を左腕に戻すと、ヴァリアブルライフル手に取った。

　『さあ、次へ行きましょう』

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＜解説＞

IAとは

IA（イクス・アームズ）輪廻の終焉者（ラスト・オーダー）が開発した機動兵器の総称。タイプは様々でこれから増える模様。

　小型人型タイプ（レイヴン、レイヴンＦなど）

　通常の人間より一回り大きい体躯が特徴的。また人型特有の個体ごとに戦闘における練度の差が見られるのは、内蔵されている学習機能によるものだと言われているが真偽は定かではない。

＜機体解説＞

型式番号SN-1 　レイヴン

タイプ　　　　小型人型タイプ

身長　　　　　180㎝

装甲材質　　　高濃縮劣化ウラン

駆動源　　　　2150年生産　小型家庭用バッテリー

輪廻の終焉者（ラスト・オーダー）が開発した全環境適応型人型機動時兵器。数ある中でも生産数が１番多く、運動性能は常人の約5倍、握力だけで人間の頭蓋骨を余裕で砕けるほどのパワーを持つ。また拡張性の高さから戦況に応じて武装の変更が可能。装甲に劣化ウランが大量に使用されており被爆への対策が必要である。連続稼働時間は720時間。

武装・能力

ブルパップ式アサルトライフルAG5

高周波ブレード

高周波ダガー

シールド

電磁投射杭（レールバンカー）

？？？？

？？？？

？？？？

熱源探知

＊？？？は後でお楽しみに～

対処法

エネルギー兵器、ロケットランチャーやC4などの爆薬、105ｍｍ以上の実弾兵器もしくは専用弾薬で対処可能。