第23話  労働について

 私が小さいころ、ヨーロッパ人たちが「日本人は働きすぎだ」と言っており、私の親戚の一人が、「そんなのは、西洋人がどうこう言うような問題ではないと思うんだけれども。」


と不満をこぼしていた。


 日本人は確かに、勤勉勤労として知られる。


 理由は結構単純で、


 西洋では聖書では神がアダムに罰として、労働を与えた。


 ようするに、「労働」は「奴隷のような苦役」であった。


 しかし日本書紀や古事記では、


 天照大御神あまてらすおおみかみは、稲作で働いてるし、山幸彦やまさちひこは(山の)猟師で、海幸彦うみさちひこは(海の)漁師といった風に、神様自らがはんれ、働いているのである。


 日本人から見れば、一番偉い神様ですら一生懸命働いているので、それより偉くない日本国民が必死になって働かないわけにはいかなかったのであろう。


 なので、逆に大航海時代以降、奴隷貿易などで、自分が働かないようにし、(彼らの神)に近づくように「労働」を遠ざけたのかもしれない。


 ゆえに、彼らが「日本人は働きすぎだ」と言ったのは、皮肉でも嫌味でもなく、素朴に疑問に感じただけだったかも知れないのである。


 さあ、これもどっちが真理か?


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田渡 芳実のウダウダ ポエム(と言っても内容はエッセイです) 田渡 芳実 (たわたり よしみ) @ruasu50

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