第11話 創ることについて

小さい頃から不思議だった。


創作、創造などの「創」と、創傷、銃創などの「創」は、全く同じ字である。


なぜ、「作る」と「壊す」と真逆の意味なのに同じ字を、古人は当てたのか?


荘子の「無用の用」のような秘密が実は隠されている。


 これは、何かを「作る」ときは、必ず他の何かを「壊す」ということらしい。


例えば、下駄を作るために、素材となるほおの木を切る。


 (下駄を「作る」は創作、創造の「創」、ほおの木を切るが創傷、銃創の「創」)


といった具合である。


中国歴史を中心に書いている作家の宮城谷昌光氏は老子の


 「何かを奪おうとするならば、まずは与えよ」


を引用して用いていたが、これは意外な様で現実に、結構有るみたいである。


 例えば、結婚してほしい異性に高価な指輪を贈るなど、その最たる例であろう。


 大分昔になるが、ある脚本家(もう相当前になるので、忘れてしまったが、確か脚本家だったと思う)が、


 「創作の(創)は傷付いた人間の方が沢山書けるって事じゃないかな・・。」


と、テレビ番組で語っており、私は良いこと言うなあ、と感心していたのだが事実はコレとは違っていたである。


 しかし、小説家や漫画家、テレビドラマや映画の脚本家は自分に起こった不幸な出来事もネタに出来るのは周知の事実である。


事実と違っていてもこの脚本家が含蓄がんちくのあることを、言っていたのは間違いない真理だと思う。








  












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