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 それから手当てをしてやり、そばにいてやろうと、一歩も外に出ずに、包帯だらけとなり、瞼を閉じたままの彼を見続けていた。

 そんな日々を過ごし、ベッドの縁に座り、何となく赤い月を見ている時。

 後ろから布の擦れる音が聞こえた。

 バッと後方を振り返ると、目を覚ましたクロサキが起き上がっているのが目に映った。


「·····! クロ──」


 口を噤んでしまった。

 今までなら、人が部屋に入ってきた途端、すぐさま布団を被り、震わせていたのが、こんなに手が届きそうな距離にいるというのに、ピクリとも動かさず、虚ろな目でただ前を向いていた。

 様子がおかしい。

 得体の知れない恐怖を感じているのか、すっかり喉が渇き、心なしか手が震えていた。

 らしくもない、と自分に笑いそうになったが、顔が引きつっているのを感じた。

 クロサキがこうなったのは、あの二人のせいなのだろう。そうとしか思えない。そうだと思わないと、自分でさえ説明のしようがない恐怖に飲み込まれそうだった。

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