一緒に

「ねぇ、楽しかったよね?この時の私たちが一番楽しかったと思うよ」


私はもう目を開けなかった誠君を、膝に抱えて髪を撫でていた。


「いっつも、私が鬼で、誠君が逃げ回ってて、それを優子が保護者みたいに見て笑ってたね」


「なんでいつも2人にくっついてるの?って友達に言われたことがあるんだよ、恋人同士の邪魔をしちゃダメだろって」


「なんでだったのかなぁ?2人と一緒にいると、楽しくて仕方なかったんだよね、あの頃」


「ねぇ、誠君…。誠君は、私と結婚して幸せだったのかなぁ?少しの時間だったけど」


「一番好きな人と一緒にいられるって、ホントはとっても幸せ…だよね?」


「…だから……」


「これからも…一緒に…いて…ずっと…」


「…ねぇ…誠…く……ん………」





アルバムをめくりながら、散らばっていた薬をたくさん飲んだ。

ゆっくりと誠君を床に寝かせて腕を広げさせて腕枕にしてそこに寝そべって、また薬を飲んだ。


眠くなってきた気もするし、呼吸が小さくなってきた気もする。

だんだんと暗闇に落ちていく。

不思議と、怖さはなくて。


「…だいすき……」




_____あぁ、なんて幸せなんだろう




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る