ゴーストの正体

「梶先生、今年度の予算が余ってたんだよね、じゃあ今回購入したものがパソコン以外に何かなかった?」

「え…、あとコピー機って言ってたかな」

「コピー機…? ってそれってほら、けっこう大きいコピー機?」

「え、ああ、複合機だから大きなコピー機で…」

 酒村はかたりと席を立った。

「それ、今どこにある?」

「え…まさか…」

 酒村がかがんで少し顔を近づけた。


「ゴーストの正体は先生が考えていた姿じゃなかったかもしれないね」


――――――――


「MACアドレスは80:fb:4a:57:b5:ad…、おっしゃ当たりだ!」

 おれがそういうと、酒村はにんまりと笑った。

「最近の複合機はネットワークにつなげられるようになってる。だから勝手につなげば不正接続になる。当然MAC

 

 おれはコピー機のWi-Fiを切断した。これでもう検知することはない。後日荒蒔先生にこのコピー機を不正接続防止装置に登録してもらえば普通に使えるようになる。

 

 一方長谷部先生は青くなっている。

「わたしは荒蒔先生にやっておけって言われただけですから…。まさかコピー機だなんて…」

 おれはにっこり長谷部先生に笑いかけた。

 酒村がおれに聞こえるぐらい小さな声で言った。

「…生徒の前でそんなにイライラしないでよ。もう帰れるんだから我慢して」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ゴーストの検知 一宮けい @Ichimiyakei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ