幼馴染が塩対応すぎるので、何度か好意を確認しているんだけど、愛されてしかいない

りんごかげき

1

「…………」


 俺の幼馴染は無口だ。

 こうして一緒に登校していても、滅多に自分から話しかけてこない。


 登校中、いつも空の方を見ながら、彼女は歩いている。


「なあ、ハルカゼ」

「なに、コウ」

「えっと、よく空を見ているけど、空が好きなのか?」

「別に」

「…………」

「…………」

「じゃあ、なんで見ているんだ?」


 こちらをチラッと見て、ハルカゼは答える。


「セロトニン神経が活性化するから」

「セロトニン……?」

「うん。ドーパミンとノルアドレナリンを安定させる効果があるの。太陽光を見ると活発になる。だから、朝は空を見た方がいい」

「へ、へー」

「…………」


 中学生の頃まで、特に彼女の性格は問題だとは思っていなかった。


 けれども、流石に高校生になっても話しかけられないってことは、俺ってじつは嫌われてるんじゃないか? と疑うようになってしまった。


「なあ、ハルカゼ」

「なに?」

「もしもの話だよ? 別々に登校することになっても、ハルカゼは平気……?」


 彼女はその言葉に、キョトンとした表情になった。


「コウ、何か用事でもできたの?」

「いや、用事ではないんだけど。ほらさ、ハルカゼが迷惑なんじゃないかと思って……」

「迷惑? わたしが? なんで?」

「なんでって……」


 俺は我慢できなくなって、胸の内に秘めていた隠し事を話してしまった。


「ほら、ハルカゼって基本、塩対応じゃん。だからさ、俺、鬱陶しく思われているんじゃないかと思って――」

「そんなことない! 明日も一緒に学校へ行こう?」

「へっ?」

「それとも、コウはわたしのこと嫌いになったの……?」


 初めて、彼女の不安そうな表情を見た気がした。


 俺は首を全力で左右に振る。


「ううん。嫌いになってないよ」

「そ」

「えーっと」

「…………」


 それきり、無言になるハルカゼ。

 その頬は、ほんのり朱に染まっていた。


――――――

ゴールデンウィークなのでいっぱい更新してすみません。

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