第29話 【漫画世界】リベンジは叶うのか

29 季節なしアジト


    ●音響、ハイテンポな曲、カットイン。

    唐突に殺陣が始める。

    ○照明、ストロボ。

    善戦するが、やはり敵わない。


たま「新グリーン、荘子、大丈夫?」

荘子「……私はただのクラブのオーナーなんですが……なぜ戦わなくちゃ……」

たま「よしっ! まだ元気なようね!」

荘子「会話になってませんよ!」

如月「やっぱり必殺技を使うしかないわ」

宇田「でも、あの技は未完成だ」

荘子「必殺技って何ですか!? 私、何も教わってませんよ!」

たま「ここで完成させればいい」

如月「そうね、その通り」

宇田「うん」

荘子「ちょっと、聞いてくださいよ!」

たま「やよいイエロー、いくわよ!?」

やよ「もういい……私は止める」

たま「は?」

やよ「私はもういいの。戦いなんて嫌い」

たま「何を言ってるんだ!」

宇田「臆病風に吹かれたのか!」

やよ「そうじゃない。そうじゃないけど、もう止める」

宇田「ここまで来て、そんなのが通るわけないだろ!」

やよ「そんなことない、まだみんな生きてる。私たちも瞬さんたちも。だから、もういい。ここで止めよう」

如月「馬鹿なこと言わないでよ! ここで一致団結しなくて、どうするのよ。あなたは、やよいイエローなのよ! 責任を果たしなさい!」

やよ「私はやよいイエローじゃない。ただのやよいよ。瞬さんのことが大好きだった、ただの、やよい」

瞬後「やよい……」

星美「こんなときに仲間割れとは人間とはつくずく愚かな生き物だな。瞬、今のうちだ。やってしまえ!」


   動かない瞬。


星美「どうした!?」

瞬後「俺ももう止める。詐欺も……火星人も、止める」

星美「火星人を止める!?」

星美「な、何を……」

たま「これまで多くの人を泣かせてきて、都合の良いことを言うな! 苦しんでいる人たちがそんなことを許すか!」

瞬後「責任は取る」

たま「責任は取るだと?」

星美「火星人の誇りを忘れるのか!? お前は火星人なんだ! 火星人をやめることなんて出来ない!」

瞬後「いいや、止められるさ。こうすれば……」


   自分の胸を刀で刺そうとする瞬。

   そこに飛び込むやよい。

   やよい、倒れる。

   ○照明、赤い閃光、カットイン。

   ●音響、刺さる音、カットイン。

   刀はやよいを貫き、瞬も刺し、倒れ込む。

   間。沈黙。


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