第22話 【現実世界】編集長、登場
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楓 「やっぱり如月ピンクになるんだ!」
やよ「どうかなぁ」
矢田「先生、どさくさに紛れて、自分出してるじゃないですか!」
やよ「え、何のこと?」
矢田「とぼけないでください。三人現れた騙された人の中で最後の人ですよ。自分の名前、やよいって名乗ってましたよ」
楓 「これって先生自身なんですか? たまたま名前使っただけかと思いました」
やよ「そうよ、たまたまだって。一度にたくさん登場人物出ると、名前考えるのがたいへんだからさ」
矢田「私は騙されませんよ。やよいの前のめり感は完全に先生にひいきが入ってます」
やよ「私はプロなのよ。そんなことあるわけないじゃない」
矢田「如月が『ひどい』っていう前に脇役のやよいが『ひどい』って言ってるじゃないですか。おかしいですよ、これ」
やよ「やめてよ、深読みだって」
矢田「それに締め切りが……って言ってるじゃないですか!? 完全に今の先生のことじゃないですか」
楓 「あ、本当だ!」
やよ「へへへ」
●音響、ドアベル、カットイン。
矢田「あ、編集長だ!」
やよ「あちゃちゃ」
楓 「もう大切な話をしているのに間の悪い人だなぁ」
やよ「楓ちゃん開けてきて」
●音響、ドアベルさらに鳴る。
楓 「もう、うっさいな」
楓、退場。
矢田「ともかくここまでの原稿を読んでもらいましょう」
やよ「それしかないしね」
矢田「で、ともかく目の前で猛烈に頑張ってることを演出しましょう」
やよ「なるほど。感情に訴えかけるのね」
矢田「はい」
楓、平輔、入場。
平輔「やよい先生! いったいどうなってるんですか!?」
知らん顔して、漫画に向かっているやよい。
矢田「先生は今、集中してますから邪魔はなさらないでください」
平輔「邪魔って。俺は心配で飛んできたんだぞ。もう四時過ぎてるぞ! 本当に間に合うんだろうな!?」
矢田「心配? 本当ですか? とういうか、間に合ってほしいんですか?」
平輔「当たり前だろ。お前が全然頼りないから、こういうことになるんだ。いったいどうなってるんだ? そもそもスケジュール管理をしっかりだな……」
矢田「それが本心かなぁー」
平輔「な、なんだその上から目線は」
矢田「本当は自分の漫画を載せられるか気になって偵察に来たんじゃないですか!?」
平輔「ぎくっ! そそそそんなわけあるか!」
矢田「思いっきり動揺してるじゃないですか」
楓 「お静かに! 先生の作品を台無しにしたいんですか!?」
平輔「す、すいません」
矢田「これがここまで出来上がってる原稿です」
平輔「あ、あぁ」
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