3rd of May

 この日が来るのを待っていた。ずっと待っていた。夜の風が髪の間をすき抜ける。しかし風の感触も、足場の冷たさも届いてこない。46メートル先の地上を見下ろす。やっと死ねるだけの勇気と絶望をかき集めることができた。「死ぬかは明日決めろ」彼の口癖を思い出したのは、胸が軽くなってからだった。

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