航海第十八日目 責任

(平成11年9月27日〔月〕曇り)

 ああ、なんということをしてしまったのだろう。よりにもよって、天国を地獄のような阿鼻叫喚とした状態にしてしまうとは……。こんなことが私の仕業だと知られたら、どうなってしまうのだ。


 そして、私の心の中で一つの結論が導き出された。かくなる上は、天国そのものをなくすしかない。私は両手を掲げ、呪文を唱え始めた。


「雲の彼方、天空のさらに先、無限のカオスを含みし宇宙よ。我ら、小さき者にその力のわずかな破片を貸し給え。だいたい直径10kmほどのやや球形の流星を呼び起こし、楽園と呼ばれる天国に光の矢を降らせよ。そしたら、どら焼きを40個与えよう。さらに、そのうちの3個にはワサビを混ぜてやる。当たった奴は、これから一生“ワサビマン”として生きていくのだ。ざまあ見やがれ」


 私の必殺の“メテオフォール”だ。この魔法ならば天国も吹っ飛ぶだろう。

 しかし、私の予想に反し、天国はまだ半分ほど残った。


(十九日目につづく)

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