第34話 エミューズお姉様との再会

 無事にクエストを終えた俺達は、ドワーフの国で一週間ぶっ続けで、宴に出る事になった。俺も酒は好きだが、奴らは異常だ。


お土産をたくさんもらってジョウモ王国に戻ったが、あの時の事を思い起こすと、恐ろしくて金玉が縮む。


あんな賭けは、もうでき無いな。


暫くは、ボーっとして過ごしていたが、ミリカが血相を変えて部屋に入って来て終わった。



「どうした?ミリカ」


「ダドウサ王国が、ガウルストに戦争を仕掛けたらしいにゃ」


サキとセフィーヌも来たので、ミリカに落ち着いて話してもらった。


「さっき商人から話しを聞いたわ」


「そうか、帝国の力が弱まって、後方の心配が無くなったから、動き出したんだ。ごめん、ミリカ」


「リックのせいじゃないよ」

「そうですよ」


「糞、ダドウサの奴ら。気に入らない」


「もしかしたら、人を強化する方法が完成したのでは有りませんか」


「有り得るな」

「だったら、不味くないか。リック?」


「うう、心配だわ」


「よし、様子を見に行こう」

「リック!ありがとう」


「当然よね、リック」

「その通り」





国内の段取りを済ませて、ガウルスト王国に向かっう。



ヤクトビートルには申し訳ないが、休まずに飛んでもらい急いだが、それでも着いたのは6日後だった。


「ちょっと、城から煙が上がってるわ」

「本当ですね」


「うう」


「あの様子だと、そんなに時間は経ってない。急ごう」



城の中は荒らされていた。


「何が有ったんです?」

「ば、化け物の群れが……」


「セフィーヌ、みんなの手当てを」

「はい」


謁見の間まで一気に駆け上がる。ここも酷い有り様だ。


「しっかりするのよ」

「王子様と王女様が……」


「これは人質に取られたわね」



「動くな!手を上げて、全員ゆっくりこっちを向け」


「私達は何もしてないわ」

「ミリカじゃないか、こんな所で何をしてる?」


「ギルドマスター、良かった。城から煙が出てたから、見に来たのよ。この人達は仲間」


「ふむ、我々も状況が見えん。陛下をお捜しして話そう」


「解ったわ」



ーー



「陛下、ご無事で何よりで御座います」

「レイベル騎士団長のお陰だ」


「しかし、王子様と王女様が連れ去られてしまいました」


「……あの状況では、致し方があるまい。奴らが人質とするなら、無事であろう」


「早急にお救いしたいが、下手には動けません」



「それなら僕達が秘かに動きましょう」


「そなた達は?」


「この者達は、いち早く駆けつけ兵士達を治療した者です」


「そうか、礼を言うぞ」


「貴殿達は、あの化け物に太刀打ち出来るのか?」


「おそらくあれは、魔道具か薬で強化した人です。そんな物には負けませんよ」


「なんだと、ミリカが言っていた異形の魔物か?」

「そうよ」


「で、どうやって救出する?」


「捕らわれている場所は特定出来ます。後はこの子達に先攻させ、急襲します」


「うくっ」 「ぬぬう」


「わ、分かった。して、段取りは?我々は、どう動けば良い」


「この際、敵の首を取っちゃいましょう。段取りは今から話します」


「なんと!」



ーー




「諜報虫のテレブスのにより、王子様達の居場所が判った。出発しよう」


「「「了解」」」



雷虫のメイドウジュをハエのサイズ程度に小さくして、大群を城全体に送り込む。2人が捕らわれているのは東の棟の最上階だ。



俺の合図で一斉にメイドウジュは、兵士達に取り付いた。ミニサイズと言え、身体全体にまとわりつかれれば、電気ショックはかなりの物だ。みんな気絶する。


俺は悠々と城に入り、アイテムBOXからみんなを出す。


「みんな気絶してるわ」

「さあ、棟へ急ごう」



「リック、あそこに」

「王子様と王女様です」



「貴方達は?」

「陛下に頼まれて、助けに来たのよ」


「暫く、辛抱して下さいね」


2人をアイテムBOXに入れる。そして、上空にいるヤクトビートルヘテレブスを使って命令した。


[ド~ン]と地響きが起こり、ヤクトビートルから降りて来た、ガウルスト王国の騎士と兵士の精鋭200名が城になだれ込む。


ダドウサの城を制圧するのに、20分もかからなかった。



「俺達も王の間に入ってみよう」



ーー


兵士や貴族達は、縛られ牢屋に入れられる様だ。この人数では入りきらんな。


「私は逃げたりしません。放しなさい」



「リ、リック。ちょ、ちょっと大変よ」

「どうした、サキ?」


「ほら、あそこにいる女の人」

「ん~、…………お姉さま。エミューズお姉さま」


何でこんな所に?


「エミューズお姉様」


「リック!……バンタムの言った通り、やはり生きていたのですね。立派になって」


「この女性は?」

「ダドウサ王国の女王です」


「なっ」


どういう事だ。どうなっている?


「リック殿、お知り合いですか?」

「僕の姉さんです」


「何ですと」


「お姉様、必ず助けます。暫く我慢していて下さい」


「リック……」


ガウルスト国王に、直談判だ。ダメならミリカには悪いが、さらってジョウモ王国に帰る。


戦いの方は、ガウルストの軍勢が到着し、王族全てを捕らえていた為、血を流す事なく終わった。




ーーーー


「……なるほど話しは解った。今回の事はリック殿がいなければ、どうにもならなかった事じゃ。ガウルスト王国は救われた、リック殿の恩に報いる事としよう」


「ありがとう御座います。陛下」


良かった、ミリカに嫌な思いをさせなくて済む。


これから、エミューズお姉様に詳しく話を聞かなくてはならない。


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