第14話 マリアへ捧げる祈り

一樺たちが暫く歩くと礼拝堂が見えてきた。

教師に促されるように一樺たちは礼拝堂に入り指定された席に座り前を向いていた。するとシスターのような格好をした人が入ってきた。その人は十字架の前に立ち胸の前で手を組んだ。一樺たちは周りを見ながら手を組んだ。するとその人が『恵み溢れる聖母マリアよ……』と祈りを捧げた途端、一樺は瞬きをしたあとそっとマリアの口付けがある首元に触れた。『なんだか……此処が温かいような……?』と思いながらももう一度手を組んだ。シスターのような格好をした人は透き通るような声でマリアへの祈りを捧げ続けていた。その祈りを聞いていた一樺は熱くなった首元にもう一度触れた。『……もしかしてこの祈りに反応してるの……?』そう考えていればズキンと痛む頭に一樺は表情を曇らせた。紗理那はそんな一樺に気づけば「一樺……顔色悪いよ。大丈夫?」と問いかけた。その言葉に一樺は瞬きしたあと「……大丈夫。ありがとう紗理那」と答え、ぼーっとしながら祈りを聞いていた。そんな一樺を紗理那は心配そうに横目で見つめていた。




暫くして祈りが終われば紗理那は一樺に「終わったよ。教室行こ」と告げた。その言葉を聞いた一樺は「あ……うん。」と答え立ち上がろうとした。その時、ぐらりと一樺の視界が揺れそのまま倒れ込んだ。紗理那は「ちょっ……一樺?一樺!先生一樺が……皐月さんが!」と紗理那は教師を呼んだ。その声を聴きながら一樺はそのまま意識を手放した。

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