第6話 入寮試験

一樺と紗理那が寮へと向かえばそこはもう他の生徒でいっぱいだった。


「うわ……少し出遅れたね……」

「そうだね……まぁもう少し待ってみようよ。それにムーズル魔法学校の入寮試験ってめちゃくちゃ厳しいらしいよ」

「えっ……そうなの?だ……大丈夫かな……」

「一樺、クラス分けテストでSクラスだったんだし大丈夫だよ。あっ人バラけてきたね行こ」と紗理那が一樺の手を引いて歩き出した。一樺は笑みを浮かべ「うん……そうだね紗理那!」と告げれば2人は試験官の前に立った。


「一樺。頑張って!」と紗理那の応援にこくりと小さく頷けば一樺はそっと息を吐きまるで歌うように詠唱を始めた。『髪を撫でるよう激しい風が駆け巡る。束の間、一時の記憶が途切れるように迅速に……ーウィンケルドー』一樺が詠唱を終えると辺りに風が吹き荒れた。その風は一樺を包み込んだ。風の中心にいる一樺は外にいる試験官を見たあとカツンと足を鳴らし風を止めた。それを見た試験官は小さく「流石マリアに愛された生徒だな……」と呟いたあと「皐月 一樺合格。入寮を許可する。次!」と告げた。次は紗理那の番だった。一樺は紗理那とハイタッチして「頑張って」と告げた。紗理那も頷き胸の前で手を組みそっと詠唱を始めた。『目に映るは夢幻。氷塊の万華鏡をもって錯乱させたまえーアイフカシー』そう紗理那が詠唱を終えると、周りに氷で出来た鏡が数十枚現れた。それを見た試験官は頷き「如月 紗理那 合格。入寮を許可する」と告げた。紗理那はにこりと笑みを浮かべ「ありがとうございます試験官さん」と告げた。



こうして一樺と紗理那は無事、私立ムーズル魔法学校女子寮への入寮を認められた。そして部屋割りのパネルを見れば2人は同室だった。

「紗理那……これからよろしくね」

「こちらこそ。一樺」と2人は軽く握手を交わしこれから3年間暮らす事になる部屋へと向かった。

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