第2話 魔法がある世界
夢から覚めてすぐ小さなぷっくりとした身体、赤ちゃんに転生したことは混乱したがそれよりもとあることにとても驚いた。
そのあることを見て、なぜ赤ちゃんに転生したのか？という疑問は頭の片隅に送られ、俺はそのあることに夢中になり物凄くやる気に満ちていた。
恥ずかしながらそのあることを見て大興奮してしまったものだ……
いやゲームや小説を読む人ならわかってくれるはずだ。
同じように大興奮すると思う、絶対。
感情を抑えられないことがよくあるがこれについては数日で少し慣れた……
というか、まぁ、赤ちゃんだし仕方がないと思うことにした。
それよりあることへのやる気は未だ落ちず日々上昇に上昇を重ねて、ほとんどあることだけを考察していた。
あることとはなにかだって？
それはーー
夢から覚めて、赤ちゃんに転生していることに混乱し泣いて泣き疲れ寝て、空腹で泣いてお腹一杯になって寝て、初めての排泄を夜中にして不快感で泣き叫んだ、泣き叫んでしまった。
近くで寝ていた母親が気付いてくれて暗い部屋で言ったんだ。
「『プチライト』あー、おしめの交換でしゅねー。」
小さな光が空中に現れ明るくなった。
それを見て、速攻泣き止んだ。
うんこなんてどうでもいい。
いや、どうでもよくはないな。
綺麗にしてほしい、してください、お母様。
布おしめを外されお尻を拭かれ綺麗にされた後。
「『プチクリーン』はーい。綺麗になったよー。」
ありがとうございます、お母様。
しかし、また違う魔法だよ！
空想でしかないと思っていたものを見て、ここが地球ではない世界、異世界だということがわかった。
興奮した！
不快感もなくなり魔法があることに、使えるかもしれないことに感動、興奮した！
きゃっきゃっと宙に浮いているプチライトという小さな光に手を伸ばす。
届かないけどそれでも伸ばし、諦めないぞ！届け！って手を伸ばし続け、力尽きてその時は眠ってしまった。
起きている時に魔法を使うための力、魔力を探した。
勝手に魔力という名を付けた。
その魔力を感知したのは母親が出したプチライトを触った時だった。
俺がプチライトを出されると喜ぶから、別に喜んでいるわけじゃない！魔法だ！とか、どうなっているんだ？！と興奮しているだけだとよくわからない言い訳をしながらプチライトを追った。
母親が動かすプチライトを追う俺を近くで両親が幸せそうに見ていて、まぁいいか、幸せならいいかと思った。
なんだか心が暖まるのを感じた。
そして父親が母親を抱き寄せて動きが鈍ったプチライトに触れた時、それが、魔力が、自分の身体の中にあることを感知した。
魔法がある異世界だと気がついて三年が経った。
金髪青瞳の平均身長の可愛い系美人の美乳な母さんと青髪赤瞳の高身長の細マッチョで髭を生やしたワイルドなイケメンな父さんの子としてすくすくと育っております。
今思うとすぐに母親の言葉がわかったのは凄いことではないかと思った。
それと子供の成長が早いからなのか脳が柔らかいからか前世の記憶、想像力があるからなのかすぐに生活魔法を使えるようになった。
また夢から覚めて、生まれて？半年で魔力をスムーズに動かせるようになり、それからというもの常に身体中を循環させている。
動き回れるようになるまでは目を覚ましたら、魔力が無くなるまで魔法を使い気絶するように眠るのを繰り返した。
歩けるようになってからは危なくないプチライトを出して、動かしそれを追ったり、歩きながら魔力の循環をさせたり、歩き疲れたら、座ったまま魔法の使用や魔力の循環をした。
魔法が大好きでよく寝る子だと思われている。
排泄時自分でプチクリーンをして少なくなった排泄に両親に心配され、目の前でプチクリーンをやったら少し騒ぎになった。
「もう使えるのね！凄いわ！天才だわ！」「天才だな！」と両親が大興奮、抱っこされ頬擦りされた。
母さんの頬擦りは良かったが父さんのは髭がじょりじょりして痛くて泣き叫んだ。
この後、落ち着いてから生活魔法を見せてくれたんだ。
生活魔法の小さな光のプチライト。
少しの汚れを落とすプチクリーン。
着火のプチファイア。
生水のプチウォーター。
微風のプチウィンド。
一時しのぎの修理プチリペア。
両手で持てる重さのものを異空間かどこかに収納するプチボックス。
それらを母さんと父さんが使うのを見せてくれた。
徐々に魔法の使用回数が増えているからたぶん魔力量も増えている。
それにともない魔力が無くなるまで時間が掛かるようになってしまい寝不足気味になった。
魔力を込める量を増やしたり、複数同時使用を試した。
魔力を常に身体中を循環させていたからかすぐに出来た。
魔力を込める量を増やすと効果が上がることがわかった。
プチライトなら明るくなり大きくなった。
同時使用は最初は二つ、次に三つと複数増やせるようになり魔力の消費が増加して時間を減らせるようになって寝不足の問題が解決した。
ふと明るさや大きさが変わるのなら形も変えられるんじゃないかと思ったんだ。
プチライト、小さい光の玉を星の形にしようとした。
なんとなくね。
最初は歪な星の形だったが何度も何度も繰り返していると綺麗な星の形になった。
夜にデネブ、アルタイル、ベガとか歌いながら天井に星のプチライトを浮かべ、ソロプラネタリウムを開催したりした。
プチライトでわかったことは魔力を減らした小さい光を星にしようとしてもぼんやりふんわりした感じの星にしか作れなかった。
いつものプチライトをぎゅっぎゅっと圧し固めるようにして星の形を作ろうと試したら成功した。
凝縮？圧縮？しないと綺麗な形にはできない。
それをすると小さくなる。
大きいのもの複雑なものを作ることになると魔力を増やさなければならない。
形は複雑な形ほど魔力量は増え、魔力制御が難しかった。
難しいっていっても三年ほぼ毎日魔法を使っていたからプチウォーターのリヴァイアサン、プチウィンドのシルフやグリフォン、プチライトのペガサスやユニコーンなどの複雑な形にできるようになってしまった。
子供の成長って凄いっ！
プチじゃないだろっこれっ！と訴えられるくらいの大きさにもできるようになった。
子供の成長って凄いっ！
両親が天才だ天才だと言うが大人の記憶を持った子供だからスタートダッシュが早いだけで、本当の天才にはすぐに追い抜かれるだろうなと思いながら、でも失望されないように頑張ろうとか思ったりした。
父さん母さんに褒められるのは嬉しいんだ。
まぁ魔法で色々できるから物凄く楽しいからっていうのもあって色々試したりしているんだけどね。
三歳の誕生日に両親にプラネタリウムを披露して「産んでくれてありがとう。」と言った。
抱っこされ頬擦りされた。
父さんのは痛かったけど、涙目になったけど、泣き叫ばなかった。
少し成長した。
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